Interview

「勝てる投手になりプロへ」明豊の背番号1・京本眞が持つ才能とは?

2021.03.03

 3月19日に開幕する選抜甲子園で、出場校で唯一3年連続の選出となったのが大分の明豊だ。昨秋は全8試合で1失策の堅い守りを土台に九州大会ベスト4に進出したが、投手陣の踏ん張りも忘れてはならない。

 中でも背番号1を背負った京本 眞投手は、189センチの長身から最速143キロの直球を投げ込む注目の大型右腕だ。大淀ボーイズ時代はジャイアンツカップ優勝も経験し、明豊でも1年秋からベンチ入りし九州大会でも登板を果たすなど経験は豊富。昨年の秋季大会でも4試合20イニング1/3に登板して、防御率1.77と好投を見せた。

 選抜甲子園に向けて京本は、「150キロを目指し、その中でチームの日本一に貢献できる勝てる投手を目指す」と強い意気込みを見せる。

明豊の1番はみっともない投球は出来ない

「勝てる投手になりプロへ」明豊の背番号1・京本眞が持つ才能とは? | 高校野球ドットコム明豊・京本 眞

 「京本は気持ちを前面に出して投げるタイプで、彼は投げると士気も上がりますし、長身から角度のあるボールを投げることができるのが持ち味です。かと言って真っ直ぐだけではなくて変化球も器用に投げれて、バント処理や牽制もきちんとできるので総合力の高い投手だと思います」

 そう語るのは、明豊を率いる川崎絢平監督だ。
 経験の高さからくるマウンド度胸が最大の持ち味で、下級生時から登板を重ねてきた京本。高い向上心を持って練習に取り組む姿から指揮官の評価も高く、昨秋もエースナンバーである背番号1を背負った。

 だが京本自身は、「九州大会ではプレッシャーに負けた」と反省が多い大会であったことを振り返る。大分大会、九州大会1回戦の九州国際大付戦と安定した投球を見せたが、準々決勝の神村学園戦では4回途中からリリーフのマウンドに上がり2失点。県大会からの疲労からか直球が走らず、力んで投じた甘いボールを痛打された。

 スタミナももちろんだが、直球が走らないことで力んでしまった精神的な弱さ、また角度をより活かすための直球の威力向上と、この冬は全ての面で己を鍛えることを決めた。

 「やはり明豊高校の1番をつけさせて頂いてる限り、みっともないピッチングはできないとずっと思っています。九州大会ではそれがプレッシャーになり、キャッチャーの蓑原の要求通りに投げることが出来ませんでした。その課題を冬の練習で克服してやろうと思ってやっています」

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目標を設定して、そこに向けて努力できる才能は持っている

「勝てる投手になりプロへ」明豊の背番号1・京本眞が持つ才能とは? | 高校野球ドットコムラケットでシャドーを行う京本眞投手(明豊)

 見据える目標はもちろん甲子園での優勝であるが、もう一つ投手として目指す目標がある。プロ野球の舞台に進むことだ。
 「高卒で行けるのが一番ですが、今のままでは全然無理」と自身の現在地を語る京本。高卒でドラフト指名を受けるためは、この冬でできる限りパワーアップして、春先以降にスカウト目に止まるようなピッチングをする必要があると考えている。

 「今の一番の目標は150キロを投げることです。 ですがその中でも、チームが勝たないと意味がないので、勝てるピッチャー目指してやっています。この投手みたいになりたいと言われるピッチャーになりたいと思っているので、この残り少ないで自分を追い込んでいきたいです」

 そんな京本については川崎監督も、「プロに行けるだけの素材は持ってる」とその潜在能力は評価する。甘い世界ではないことも常日頃から伝え続けた上で、チャンスを掴んで欲しいと口にする。

 「プロに行けるだけの素材は持っていると思いますが、ただもう2段階、3段階上に上がっていかないといけません。そこは本人も自覚していますし、体が細かったのですがこのシーズンオフで体重も上がってきました。目標をしっかり設定して、そこに向けて努力できる才能は持っているので継続していければ、高卒かその後どこかを経由してプロ入りするチャンスは十分にあるピッチャーだと思います」

 そのためにも、まず選抜甲子園でのピッチングは大きな意味を持つ。チームは2年前のベスト4を越える優勝を目標に掲げており、もちろん京本も「日本一」に向けて強い意気込みを見せる。

 「日本一取ることはもちろん簡単ではないですし、連戦で球数が増えていく中で戦っていかなくてはいけません。球数が増えていっても、その中でも球威が落ちずに尻上がりに良くなっていくようなピッチングを目指しています。甲子園では『回を追うごとに球が走ってきたな』と言われるようなピッチングをしたいです」

 現在体重は79キロ、身長が189センチあることを考えればまだまだ伸びる要素は大きくある。まずは選抜甲子園の舞台で「勝てる投手」であることを証明していきたい。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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