投げられなかった悔しさ胸に投打で全国を沸かせる

その中で阪上は投手として登板することも次第に増え始め、秋の大会に入ると、次第に投手としての能力が開花する。
「変化球を投げる時に腕の振りが緩む癖を意識していましたが、大会を通じてリリースポイントが安定してきて、自分なりに試合を重ねて覚えた感じです」
すると秋は神戸第一や社との延長タイブレークなど接戦が続くものの兵庫県大会を制して近畿大会へ。初戦の近江戦では被安打3、失点2の完投で勝利し準々決勝へ駒を進めた。
準々決勝・京都国際戦は選抜のかかる大事な一戦となったが、ここまでの疲労が蓄積して登板回避。本職の野手として奮闘するが、試合には5対6で敗戦する結果になった。
「打とうとしてしまって力んでしまい、外回りすることが増えました。それが結果的に詰まってしまうことにもつながりました」
神戸国際大附らしい打撃もできず、悔しい想いをした2度目の秋。「大事なところで先発できず、バッターとしても打てませんでした。あの試合で投げていれば勝てていたかもしれません」と後悔しながらも秋の成長を実感している阪上。
ただ、持っているポテンシャルは凄まじい。神戸国際大附はライトが85メートルと狭く、同校のOB・坂口智隆が現役時代に、さく越えを連発したために、30メートルの巨大なネットが張られている。
阪上はシート打撃になればそのネットを越えていく打球を飛ばすと上里田コーチは話す。偉大な先輩を超える潜在能力を秘めた阪上は世代屈指の二刀流プレーヤーへ成長するのか。また課題を克服し春以降は投打で全国を沸かせられるか。このオフが勝負の時期となる。
(記事=編集部)