Interview

145キロ右腕・阪上翔也(神戸国際大付)が語った投手として飛躍した秋【後編】

2021.01.08

 毎年野手であれば強打の選手、投手であれば剛腕を育てあげる兵庫の名門・神戸国際大付。秋は県大会を制して近畿大会に出場。近畿大会では初戦で近江との接戦を制してベスト8まで勝ち上がった。

 その神戸国際大付を投打で支えるドラフト注目選手が阪上翔也(さかうえ)。投げては最速145キロをマークし、打っては高校通算17本塁打を放つスラッガーとして近畿だけではなく世代のトップ選手として今後の活躍が期待される。そんな阪上のここまでの歩みを追っていきたい。

 後編では1年生の秋以降の成長に迫っていく。

145キロ右腕・阪上翔也(神戸国際大付)が語った投手として飛躍した秋【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
ポテンシャルは坂口以上。二刀流・阪上翔也(神戸国際大附)が痛感した高校野球のレベル【前編】

17本塁打の打力を支えるバッティング技術

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 その後、阪上はスタメンの座を勝ち取るが、秋は再び明石商の前に敗戦。3位で何とか近畿大会まで勝ち進んだが、初戦の智辯学園の前に2対4で敗戦。阪上は智辯学園戦ではノーヒットに終わるなど、明石商そして近畿の厚い壁に阻まれる形で1年目を終えた。

 それからオフシーズンは身体を大きくするべく、食事やトレーニングなど地道な練習に打ち込む時間を過ごす。すると現在までに180センチ85キロまで身体が大きくなり、必然的に打球が飛ぶようになった。

 ただ技術面も疎かにしているわけではない。阪上は普段から強く、伸びのある打球を打つことを心がけて練習をしているとのこと。そのためのポイントはインサイドアウトにあった。
 「まずは構えた時に力まないこと。そのうえで、インパクトの瞬間にボールに力を与えられるようにスイングをします。だからこそティーバッティングからバットを内から出せるように心がけています」

 寮からグラウンドまでは車で5分ほど離れた距離だが、この道のりの最中でもバットの出し方を意識して移動するなど、徹底して内からバットを出せるように工夫を凝らしている。

 夏の独自大会は3年生中心だったこともあり、1試合のみの出場に終わった阪上。8月7日の試合を最後に先輩たちが引退すると、本格的に新チームが始動。スタート直後は打者としての起用を想定した青木尚龍監督だったが「阪上が投げられなければ優勝は難しい」と語るほど、絶対的な投手陣の柱が不在の状況だった。

[page_break:投げられなかった悔しさ胸に投打で全国を沸かせる]

投げられなかった悔しさ胸に投打で全国を沸かせる

145キロ右腕・阪上翔也(神戸国際大付)が語った投手として飛躍した秋【後編】 | 高校野球ドットコム

 その中で阪上は投手として登板することも次第に増え始め、秋の大会に入ると、次第に投手としての能力が開花する。
 「変化球を投げる時に腕の振りが緩む癖を意識していましたが、大会を通じてリリースポイントが安定してきて、自分なりに試合を重ねて覚えた感じです」

 すると秋は神戸第一との延長タイブレークなど接戦が続くものの兵庫県大会を制して近畿大会へ。初戦の近江戦では被安打3、失点2の完投で勝利し準々決勝へ駒を進めた。

 準々決勝・京都国際戦は選抜のかかる大事な一戦となったが、ここまでの疲労が蓄積して登板回避。本職の野手として奮闘するが、試合には5対6で敗戦する結果になった。
 「打とうとしてしまって力んでしまい、外回りすることが増えました。それが結果的に詰まってしまうことにもつながりました」

 神戸国際大付らしい打撃もできず、悔しい想いをした2度目の秋。「大事なところで先発できず、バッターとしても打てませんでした。あの試合で投げていれば勝てていたかもしれません」と後悔しながらも秋の成長を実感している阪上。

 ただ、持っているポテンシャルは凄まじい。神戸国際大付はライトが85メートルと狭く、同校のOB・坂口智隆が現役時代に、さく越えを連発したために、30メートルの巨大なネットが張られている。

 阪上はシート打撃になればそのネットを越えていく打球を飛ばすと上里田コーチは話す。偉大な先輩を超える潜在能力を秘めた阪上は世代屈指の二刀流プレーヤーへ成長するのか。また課題を克服し春以降は投打で全国を沸かせられるか。このオフが勝負の時期となる。

(記事=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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