目次

[1]「先発完投型」となるために直面していた課題
[2]初の甲子園で掴んだ手ごたえと課題


 2021年の高校野球界は投打にわたって逸材が揃う大豊作の1年となることが予想されている。そんな注目選手たちが揃う中でも高身長なのが天理達 孝太である。

 身長193センチ体重85キロという恵まれた体格から角度を付けたボールは、最速146キロをマーク。そこに落差の大きいフォークなどを織り交ぜる同世代の中でも好投手の1人であることは間違いない。そんな達はこの1年間をどのように過ごしてきたのか。

「先発完投型」となるために直面していた課題


 「先発完投型」

 現在、高校球界にも継投の流れが出てきたとはいえ、時代が変わっても絶対的なエースに求められる不変的な要素だ。達はこの1年間、テーマにしてきた。きっかけは大きな飛躍を浴びた1年生の秋、近畿大会の決勝・大阪桐蔭戦だ。

 7回まで1失点での好投、長身からテンポ良く速球とスプリットを投げる姿に多大な将来性の高さを感じさせ、一役脚光を浴びることとなった達。しかし、その一方で、8回に崩れ、その後の神宮大会での中京大中京戦を含め7回を目安に崩れてしまうスタミナ不足に課題を感じていた。

 この課題をクリアするべく、ウエイトトレーニングや走り込みといった練習に打ち込み、持久力向上を図りながらも、投げ込みをしたことが達にとっては大きなプラスだった。

 「多ければ150球くらい投げていました。その時に1球1球全力で投げ込むこと。それで投げるために必要なスタミナやパワーを付けるようにしました」

 しかし、150球も投げていれば、必然的に後半に疲労を感じる。その時に自分独自のバランス感覚に達は気づいた。
 「軸足に重心を残すことを意識して投げていると、後半がきつかったんです。それを改善したくて試行錯誤していく中で、常に体の真ん中に重心を置き続けてあげると、安定した状態で楽にボールを投げられることに気が付いて。それからは体の真ん中に重心が来ることを大事にするようにしました」

 元々、投げる時のバランスを大事にしていた達。不安定でブレることが増えれば肩や肘への負担は増えていき故障の原因になりかねないという観点からだが、投げ込みの中で自身の理想のバランスを見つけることが出来た。

 また、バランスよく投げ込むためには、いかに上半身が脱力できるかも達にとって大事なポイントになっている。
 「無理に力が入っていると言うことはバランスが崩れている証拠だと思っているので、自然に腕が振れるように、キャッチボールで修正をしてマウンドに上がるときにはバランスが整った状態になるように取り組んでいます」