神宮第二との別れ、そして球数制限という検証への想い 武井克時 東京都高校野球連盟理事長【前編】
いよいよ東京五輪イヤーである2020年だ。東京の高校球界も多大な影響を受けることになる。しかも2020年からは球数制限も導入され、高校野球にも変化の波が押し寄せてくる。まさに激動の1年に向けての思いを、東京都高校野球連盟の武井克時理事長に語ってもらった。
(聴き手:大島 裕史)
まずは検証。高校野球が変われば、少年野球の指導者の意識も変わる
武井克時理事長
――1週間に500球までという球数制限が導入されます。
武井 克時理事長(以下、武井) まずはデータを集めて検証していくというのが要件で、各都道府県の高校野球連盟がしっかり検証していくことになります。実際、トーナメントをやっていてかかってくるのは、準々決勝、準決勝、決勝なんですよね。そうした中で、どういうデータが出てくるか、1年ごとに検証してやっていく。とりあえず、やってみようということです。
医者や理学療法士の話を聞いてみると、肩肘の問題が一番出てくるのは、小中学生からです。そうした中で高校野球が球数を制限することによって、障害予防の意識を、子供たちを教えている団体にも発信していこうという狙いもあります。高校野球が変われば、小中学生の子供たちを教えている指導者たちも、障害予防を意識するようになるのではないかという思いはあります。
――東京の場合は、試合ごとに球場も違うので、1週間に500球という制度を実施するのは、大変ですね。
武井 今回の制度の影響を、東京が一番影響を受けますよ。試合数が抜群に多いわけですから。しっかりチェックして次の試合に持っていかせて、最終的には管理を我々がして、この試合ではあと何球しか投げられませんよと、指摘していく必要がありますから。
――雨天などで、試合途中でノーゲームになった場合も、投球数にカウントされるわけですね
武井 そうなんですよ。ノーゲームになっても実際に投げているわけですから、数えないと駄目だろうという考えです。これからサスペンデッドゲームなども考える必要が出るかもしれません。
[page_break:神宮第二球場なき後の東京の高校野球]神宮第二球場なき後の東京の高校野球
神宮第二最後の試合で指揮を執った前田監督と小倉監督の両監督
秋季都大会の準々決勝を最後に、1961年に完成して以来、東京の高校野球の聖地であった神宮第二球場が野球場としての使命を終えた。最後の試合は、激戦のブロックを勝ち抜いた帝京・日大三の伝統校対決になった。試合は大接戦になったが、中堅手の加田拓哉が2度にわたるダイビングキャッチでピンチを救った帝京が勝利を収めた。
――神宮第二球場最後の試合は、感慨深いものがあったのではないですか?
武井 ありましたね。僕らもあそこで育ちましたし。独特の球場じゃないですか。48メートルもあるネットに囲まれて。一塁側にゴルフ場があって。ゴルフのスピンのかかったボールで人工芝の材料がとれてしまうわけですよ。それを神宮球場の人たちが接いでくれて、ここまでよくやってくださったなというのが、ありますね。
近くで見たら、ボロボロですよ。最後の方はよく滑りましたね。
――そういう意味では、加田君のファインプレーなんかはすごかったですね。
武井 素晴らしかったですね。普通はああいうプレーは、あそこではできないですよ。あれは高校野球の姿ですね。
――神宮第二球場は、場所も良かったですよね。
武井 地の利という点では、抜群にいいわけですよ。この球場がなくなると、高校野球のファンは遠いところまで行かなければなりません。
――これから大会運営は、どうされるつもりですか?
武井 比較的大きな球場は、[stadium]ダイワハウススタジアム八王子[/stadium]、それから[stadium]市営立川球場[/stadium]などがありますね。これまで[stadium]神宮第二球場[/stadium]にあった秋や春の大会の大会本部を多摩地区に持っていくことになると思います。
[stadium]都営駒沢球場[/stadium]もいい球場であることは間違いありませんが、観客が3000人しか入らないし、車の出入りが不便で、いろんな物を搬入できないという問題があります。
一応春は八王子に本部球場を置いて、夏の東東京大会は、[stadium]江戸川区球場[/stadium]か[stadium]都営駒沢球場[/stadium]になるかと思います。西東京大会は八王子になります。
前編はここまで。後編では夏の球場問題、秋季東京都大会のシード制導入について語ってもらう。後編もお楽しみに。⇒(後編を読む)
(取材=大島 裕史)
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