目次

[1]帝京戦の好投から掴んだベンチ入り投手の座
[2]2年冬の頑張りにより投打で急成長
[3]1年春で大学日本一も壁にぶつかる


 1998年世代は投手大豊作の1年。プロでは山本 由伸都城出身)、大学では早大の早川 隆久木更津総合出身)と実に多い。その中で異色の存在といえるのが立教大の中川 颯桐光学園出身)だ。高校時代から有名なアンダースローとして、二度の関東大会出場、最後の夏はベスト4。

 立教大進学後は1年春に大学選手権優勝を経験。61試合に登板し、10勝8敗、通算141奪三振と好成績を残し、今年のドラフト会議ではオリックス・バファローズに4位指名を受けてプロ野球選手になる夢を叶えた。ちなみに現在、プロ野球界でアンダースローで実績を挙げたのはこの3人。

高橋 礼投手(福岡ソフトバンク)専大松戸出身
與座 海人(埼玉西武)沖縄尚学出身
牧田 和久(東北楽天)静清工出身

 中川はアンダースローで勝負出来る投手として評価され、夢を叶えることができた。では中川はいかにしてこの位置にたどり着いたのか。本編は、そのサクセスストーリーを振り返る第2回である。

vol.1、3はこちらから!
負けん気の強いアンダースローの中川颯(桐光学園ー立教大)の投手人生の始まり vol.1
苦しみ抜いた中川颯(桐光学園ー立教大)が生み出したアンダースロー論 vol.3

帝京戦の好投から掴んだベンチ入り投手の座



高校時代の中川 颯(桐光学園出身)

 大会が終わり、5月の練習試合。中川は帝京との練習試合でチャンスが与えられる。

 この年の帝京清水 昇(東京ヤクルト)が投の柱として活躍し、強打も魅力で、夏の東東京大会で準優勝する強力なチームだったが、その帝京相手にリリーフとして3回無失点の好投。さらに本塁打も打ったのだ。この試合を機に練習試合でチャンスを与えられた。

 「甲子園でプレーしている姿をテレビで見ている有名チームを抑えることができたのは自信になりました。ホームランは打てると思っていなくて、うまく当たったら入ってしまった感じでした。」 

 それから練習試合でも結果を残し、中川は1年夏から背番号「13」として、ベンチ入りを果たす。5試合中、4試合に登板。強打者揃う慶應義塾戦では9回1失点の好投を見せた。

 「初めての夏はすごく楽しくて緊張感がある大会でした。大会序盤は楽しめたんですけど、慶應義塾戦、横浜隼人戦は暑かった記憶が強かったですね。頭がぼぉーとしてしまい、体力をつけて、また頑張っていきたいと思いましたね」

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