Interview

負けん気の強いアンダースローの中川颯(桐光学園ー立教大)の投手人生の始まり vol.1

2020.12.14

 1998年世代は投手大豊作の1年。プロでは山本 由伸都城出身)、大学では早大の早川 隆久木更津総合出身)と実に多い。その中で異色の存在といえるのが立教大の中川 颯桐光学園出身)だ。高校時代から有名なアンダースローとして、二度の関東大会出場、最後の夏はベスト4。

 立教大進学後は1年春に大学選手権優勝を経験。61試合に登板し、10勝8敗、通算141奪三振と好成績を残し、今年のドラフトでは4位指名を受け、プロ野球選手になる夢を叶え現在、プロ野球界でアンダースローで実績を挙げたのはこの3人。

高橋 礼投手(福岡ソフトバンク)専大松戸出身
與座 海人(埼玉西武)沖縄尚学出身
牧田 和久(東北楽天)静清工出身

 中川はアンダースローで勝負出来る投手として評価され、夢を叶えることができた。では中川はいかにしてこの位置にたどり着いたのか。そのサクセスストーリーを振り返っていきたい。

負けん気の強いアンダースローの中川颯(桐光学園ー立教大)の投手人生の始まり vol.1 | 高校野球ドットコム続きはこちらから!
県内屈指のアンダースローのきっかけとなった帝京戦 中川颯(桐光学園ー立教大) vol.2
苦しみ抜いた中川颯(桐光学園ー立教大)が生み出したアンダースロー論 vol.3

渡辺俊介に憧れてアンダースロー人生がスタート

負けん気の強いアンダースローの中川颯(桐光学園ー立教大)の投手人生の始まり vol.1 | 高校野球ドットコム
中川颯

 中川が野球を始めたのは小学校1年生から。父親とキャッチボールをしているうちに自分に向いている投法がサイドスローだということに気づく。

 「もともと昔から平日に父親と投げ込みをしていて、投げている時に、リリースポイントが下がっていました。
 自然と、スリークォーター気味になっていて、小学5年生のときにプレーしていた少年野球のチームの投手がすごい良くて、彼もサイドスローでしたので、興味本位で真似したのがきっかけです。自分には結構合っていて、投げやすくて球威もコントロールも安定した覚えがあります」

 そして中学校では、横浜泉シニアでプレー。入学する前にアンダースローになる最大のきっかけを見つける。

 「日本シリーズで、千葉ロッテが日本一した時、渡辺 俊介さんが活躍されていて、それを見ていて、いざ中学にはいる時だと、身体も小さかったので、アンダースローにして、少しでも上で通用する可能性があるものを身に着けないと自覚があって、アンダースローにしました」

 中学生当初は150センチほど。渡辺が著した本も購入し、アンダースローの勉強を行い、投球フォーム、ストレートの投げ方などを学んだ。

 中学生になると成長期に入り、メキメキと身長が伸び、中学3年になる頃には180センチと高身長に。チームでは5番を打つようになり、チーム内では中心選手へ成長した。

 180センチと長身ならば、角度を生かしてオーバースローにする考えもある。しかし中川はアンダースローにこだわった。

[page_break:桐光学園入学後は挫折を痛感]

桐光学園入学後は挫折を痛感

負けん気の強いアンダースローの中川颯(桐光学園ー立教大)の投手人生の始まり vol.1 | 高校野球ドットコム
桐光学園時代の中川颯

 「変えたくなかったというか、プライドじゃないですけど、根っからのアンダースローと自負していたので、他のアンダースローの投手には負けたくない気持ちが強いですね」

 そして卒業後は桐光学園進学を決断する。

 「横浜泉シニアの先輩が桐光学園に進んでいて、桐光学園の良さを見聞きしていました。まず進学校で大学の進路も良い。自分自身、大学進学することは当時から考えていたので、そこは良いと思いました。

 一番の理由は、自主性を特化した練習環境です。僕自身、練習は自らとことんしますが、強制的で、いわゆる縛られた練習が嫌いでしたので、そういうのがない桐光学園の環境は一番合っていたかなと思いました」

 こうして桐光学園へ入学した中川だったが、入学する前年は松井 裕樹(東北楽天)がエースとして全国的な注目を浴びていた名門校。最初はレベルの高さに圧倒されたという。

 「中学も5番を打っていましたけど、力量からといえば、他の選手のほうがすごくて、自分はそれほど実力がない選手でしたので、やはり桐光学園に進んだらどの選手もレベルが高くて圧倒されましたね。入学したときは全然通用しないで終わるじゃないかと思いました」

 補欠のまま終わるかもしれない。

 いわゆるスーパー中学生の立場ではなかった中川がいかにして1年夏のベンチ入りを勝ち取ったのか。

 それはある練習試合の奇跡的な活躍だった。

vol.1はここまで。次回のvol.2は16日、最終回となるvol.3は17日掲載予定。vol.2では中川投手の高校時代の活躍を振り返っていきます。次回もお楽しみに!

負けん気の強いアンダースローの中川颯(桐光学園ー立教大)の投手人生の始まり vol.1 | 高校野球ドットコム続きはこちらから!
県内屈指のアンダースローのきっかけとなった帝京戦 中川颯(桐光学園ー立教大) vol.2
苦しみ抜いた中川颯(桐光学園ー立教大)が生み出したアンダースロー論 vol.3

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.24

【福島】田村、日大東北、只見、福島が初戦を突破<春季県大会支部予選>

2024.04.24

東京国際大の新入生は、リーグ戦デビューの二松学舎大附の右腕、甲子園4強・神村学園捕手、仙台育英スラッガーら俊英ぞろい!

2024.04.24

【佐賀】敬徳と有田工がNHK杯出場を決める<春季地区大会>

2024.04.24

【春季四国大会逸材紹介・香川編】高松商に「シン・浅野翔吾」が!尽誠学園は技巧派2年生右腕がチームの命運握る

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.21

【神奈川春季大会】慶応義塾が快勝でベスト8入り! 敗れた川崎総合科学も創部初シード権獲得で実りのある春に

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!