目次

[1]なぜ千賀はキャッチボールを最重要視するのか?
[2]自分の感覚を信じて


 2020年のパ・リーグ全公式戦が終了。最多勝、最多奪三振、最優秀防御率の投手3冠を獲得したのがソフトバンク・千賀 滉大蒲郡出身)だ。育成選手出身ながら、通算66勝、1006奪三振と、ソフトバンクでは押しも押されもせぬエースへのし上がり、今や多くの高校生投手が憧れる存在となった。そんな千賀はなぜ先発投手として活躍し続けるのか。

なぜ千賀はキャッチボールを最重要視するのか?

 「自分はどちらかという打撃が好きな投手でした。打撃練習もよくしていたと思います」

 高校時代についてそう振り返る千賀。もちろん投手としてレベルアップするためにいろいろなトレーニングに取り組んだ。だから投手としての思い出は「きつい練習しかない」と振り返る。プロになって、10年。投手はこれほど考えて練習をしないといけないポジションなんだと痛感している。

 実際に取材をすすめると、投球、トレーニング、取り組み面においても、踏み込んで取り組んでいるのがわかる。
 だが、高校時代から考えて取り組んでいたかというと、「それはなかったです。今の高校生もマックスの数字が好きな傾向にありますが、自分もそうでした。でも大事なのはいつでも、常時140キロを投げられる状態を作れるかどうかですよね」と語る。
高校時代は最速144キロ右腕として注目を浴びていたが、まだプロに入るまで、投手としてのイロハはわかっていなかった。

 先発として、いかにしてベストボールに近いストレートを投げるためにはどうすればいいのか。日々苦しみ抜いて、たどり着いたのはキャッチボールでメカニックを確かめることだった。

 「自分はフォームのバランスを大事にしていて、例えば5割の力でキャッチボールをして、4割~5割の力のボールがいくようであれば、それは理想とは違うメカニックだと思っています。

 ピッチングはイニングを重ねれば、重ねるほど、体のバランスはずれていきますので、さらに故障のリスクや球速低下になりやすい。野球は同じ方向にしか体を使わない特殊なスポーツなので、体のバランスがずれていきますが、自分の体との対話をしていて、5割ほど力の入れ加減でも、6割~7割の力のボールを投げられるようにしてきました」

 プロで活躍している投手たちの中では、安定した調子を発揮するために同じフォームで投げる事が重要と言う話を聞くが、千賀自身の考えは異なる。

 「日々の体調によって感性が全く違っていますので、同じフォームで投げ続けるというのは難しいです。自分のメカニックを確かめる上で、キャッチボールはとても大事で、ブルペンの投球練習だけでは絶対に良くなりません。これは僕個人の考えとなりますが、そう断言できます」

 千賀は何度も取材の中で「キャッチボールの重要性」について口にした。プロの世界で10年間プレーしてきて、その重要性を年々実感しているからだろう。