高校2年秋で高校通算41本塁打。有薗直輝(千葉学芸)が目指すのは先輩スラッガー超えの通算60本塁打と高卒プロ
今年の千葉どころか来年を代表するスラッガーとして期待されるのが有薗直輝(千葉学芸)だ。小学校は千葉ロッテジュニアに選出。中学校は名門・佐倉シニアと、千葉県の球児ならば、誰もが憧れるエリート街道を歩んできた。そして千葉学芸では1年春から起用され、高校通算41本塁打(取材日まで)。そして投手としては143キロ。184センチ94キロという恵まれた体格。千葉県の高校球児でこれほど投打にスケール溢れる逸材は記憶にない。そんな有薗の歩みに迫っていく。
ロッテジュニア、佐倉シニアと千葉の球児が憧れる球歴から千葉学芸に進んだ理由
千葉を代表するスラッガー・有薗直輝(千葉学芸)
シート打撃で次々と練習グラウンドのスタンド奥深くまで飛ばす有薗。体格の良さも加えて、これほどポテンシャルのある球児が千葉県出身で、千葉の学校でプレーすることに驚きを隠せない。こうした大型選手は例年、県外にいくイメージが強い高校野球ファンも多いはず。そんな有薗は千葉県北東部にある旭市出身だ。
小学校2年から野球を始め、マリーンズ・ベースボール・アカデミーに通いながら野球の技術を学び、小学校6年生のときにセレクションに合格し、千葉ロッテジュニアに選出。メンバーには吉野創士(昌平)など関東の強豪校で活躍する選手が多くいた。そこでプレーしたことで佐倉シニアの関係者の目に留まり、佐倉シニア入団が決まった。
「中学校では強豪の硬式クラブでプレーしたいと思っていたので、嬉しかったですね。そういう誘いがなければ、中学軟式でプレーしようと思っていました」
しかし逸材揃いの佐倉シニア。中学2年までベンチ入りすることはできず、ジャイアンツカップ優勝した時もスタンドで見守った。そして中学3年となり、5番レフトとしてレギュラーを獲得。そして投手も兼任し、130キロ前半の速球を投げ込む右腕としても注目された。
注目の進路は千葉学芸だった。佐倉シニアの大型選手は県外に進むイメージがあるが、
「まず体験会にいってよかったのと、小学校時代、マリーンズアカデミーで仲良くなった板倉が一緒に千葉学芸に行こうぜといってくれたので、それで行こうと。あと自分は寮が嫌だったので、自宅から通える千葉学芸に決めました」
1年春からベンチ入り。入学直後の練習試合でも本塁打を放ち、アピールに成功すると、1年夏の千葉大会では、5回戦の市原中央戦でレフトへ特大本塁打を放つ。
「小学校時代からなにかと馴染みがあった千葉ロッテの本拠地である[stadium]ZOZOマリンスタジアム[/stadium]でホームランを打てたことは本当に嬉しかったです」
秋でも県大会16強入り。秋の時点で高校通算20本塁打以上と、ハイペースで本塁打を積み重ねた。中学通算は2本塁打。なぜここまで本塁打を量産できたのか?
西川 僚祐の存在が高卒プロを目指すきっかけに
千葉を代表するスラッガー・有薗直輝(千葉学芸)
「自分の中では筋トレをしたこと。打撃フォームも修正しました。外回りのスイングとなっていたので、体を開かずに打つことを心がけ、インサイドアウトにして振ることを心がけました」
現在はベンチプレス90キロ、スクワットは230キロを持ち上げる。パワーも高校生としてはトップレベルだ。
コロナ明けで自粛期間があり、それが明けた6月以降の練習試合では10本塁打以上を重ねた。そして2年秋の東海大市原望洋戦では高校通算38本塁打となるソロ本塁打を放った。有薗のこれまでの公式戦を振り返るとここ一番の勝負強い打撃が光る。その理由として有薗は「自分で決めてやろうと思って打席に入っています。なので気負うことはあまりないのですが、ただ力を入れると固くなっているので、抜くことをを意識しています。そういうのが高校に入ってからはうまくできていると思います」
また有薗が心がけるのは逆方向への打撃。高校に入ってから意識しているが、さらにその意識を高めたのは千葉ロッテジュニアのチームメイト・吉野創士(昌平)だった。今では連絡を取り合い、近況を報告しあう仲。そこで打撃について聞いてみた。
「吉野に、打撃では何、意識している?と聞いたら、『逆方向』だよと。あぁ同じなんだなと思いました」
自身がこれまで実行していた逆方向に対する意識は正しいものだと確信した。連絡を取り合う吉野については「通算本塁打などは意識するものはあるかなと思います」とライバル意識は強い。
県大会終了後も本塁打を重ね、霞ヶ浦との練習試合で高校通算41本塁打を放った有薗。2021年のドラフト候補として期待をされるが、有薗は高卒プロ志望を決めた。
「プロに対しての憧れはありますし、プロ志望届を出したいです。そのためには来年の春、夏と結果を出したいです」
高卒プロで行ける選手になりたいと思ったきっかけは佐倉シニアの先輩・西川 僚祐(東海大相模)が千葉ロッテから5位指名を受けたのがきっかけだ。佐倉シニアの先輩で最も憧れた選手だ。
「ドラフト後に、『おめでとうございます』と連絡して。西川さんから『ありがとう。お前も頑張れよ』と返信をいただいて、いっそう頑張ろうと思いました」
こうした有薗の前向きな意欲に高倉監督は後押しする姿勢だ。
「当初は大学進学でした。プロ野球選手になることを目標に、打つだけではなく、走ることも、投げることも一生懸命取り組んでいます。仲間にも当たりが良くて、みんなにも愛される人間なので、彼を中心に甲子園に出場して、彼がプロ野球選手になれるようなサポートができればと思っています。」
そして現在は春季大会優勝を目指して練習に取り組んでいる有薗。最後の決意を語った。
「投手としては150キロを目指して、打者としては通算60本塁打を目指して、チームでは甲子園に行けるようにやっていきたいと思います」
当初は50本塁打だったが、目標を上方修正した。まずは憧れである西川の高校通算55本塁打超えを目指す。
有薗がすごいのは打撃だけではない。実は投手、三塁守備の評価も高いのがポイントなのだ。投手・有薗の凄さについては次回のインタビューで迫っていきたい。
(記事=河嶋宗一)