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第1256回 今年の超強肩捕手・二俣翔一のスローイングはまさに「投手」。目指すは走れる強肩強打の捕手2020年10月18日
投手でも捕手でもキャッチボールは基本

二俣翔一
「自分はなるべく遠くなく、低い軌道で投げられる距離で投げることを大事にしています。そして投げる時、ある程度ふんわり投げるのではなく、強く低くということを意識して投げています。リリースしたところ、上にいかずに下に行くように投げています」
実際にキャッチボールを見たところ、それは捕手のキャッチボールではなく、投手のキャッチボールだった。一直線に伸びていく球筋。二俣は投手としても最速144キロを投げ込むのも頷ける。
38.795メートルの距離に対し、いかに低い軌道で速いボールを投げられるか。なるべく遠投はせず、二俣のキャッチボールは理になかった方法だといえる。また二俣は取材日で、素手でキャッチする練習をしていたが、これも社会人の練習参加から学んだ練習法だ。
「社会人の練習経験で、キャッチングが苦手だったので質問して、こういう練習方法があると教わってやっています」このキャッチング練習は後輩たちにも受け継がれており、全体練習をやる前のドリル練習で各捕手が取り組んでいた。
ある名打者の映像を参考に長打力も向上 強肩強打の捕手へ成長
捕手としてのスキルを1つずつ磨いて、さらに高校通算21本塁打を記録した打撃についてもプロ野球選手の映像を見ながら、練習を重ねた。そこで参考にしたのが広島の大打者・前田智徳さんだった。
「前田智徳さんのグリップを握る時の手首の角度、テークバックを取った時の手首の角度、インパクトした時の手首の角度がバラバラだと力の入れ具合も違うので、意識してからコロナ明けからホームランも増えてきました。」
コロナ明けの練習試合では木製バットで練習試合に臨み、本塁打を打った試合もあった。夏の大会前にかけて評価を高め、静岡独自大会では12打数5安打4打点の活躍を見せ、しっかりとアピールに成功した。
夏が終わっても、現役選手に混じって練習を行っている。二俣はさらに進化している手応えを感じている。
「自分の中で現役でやっていた時も肩が良くなりました。キャッチボールから手が離れて相手に行く時間が短くなった。また打撃も折れてしまうことに恐怖感を感じながらやっていたんですけど、それもなくなったことで、以前よりも飛ぶようになりました」
その言葉通り、取材日で見せた二塁送球は過去にプロ入りした強肩捕手と比較しても負けていない。打撃についてもレフトへ長打勢の打球を連発していた。
ドラフトも近づき、二俣はこう意気込んだ。「捕手としては甲斐拓也選手のように投げれて森友哉選手は打てる捕手。自分は打てる捕手のようになりたいので、打てる捕手になりたいと思っています」
二俣は打てる投げるだけではなく、これまでショートをやっていたようにスピードも優れている。走れる強肩強打の捕手として輝くことができるか注目だ。
取材=河嶋 宗一