今年の大学生を代表するスラッガー・佐藤輝明。187センチ94キロと規格外の体型を生かし、リーグ戦通算12本塁打を放ち、関西学生リーグ記録13本まであと1本に迫っている。
連日、スカウトが面談に訪れ、練習を視察。さらには新聞、テレビの取材も多く舞い込んでいる。そんな佐藤のこの1年の課題や、意気込みについて語ってもらった。
規格外の打撃を支えるフィジカル さらに守備、走塁もレベルアップし、評価急上昇

キャッチボールをする佐藤輝明(近畿大)
グラウンドに立った佐藤を見たとき、最近では村上 宗隆(九州学院出身)、石川 昂弥(東邦出身)に近い衝撃を受けた。それほどスケールの大きい選手であった。
なぜこの佐藤が多大な注目度を浴びているのか。それはほかの人にはないポテンシャルの高さを持ったスラッガーである。
仁川学院時代は全くの無名だったが、田中秀昌監督に魅入られ、1年生からリーグ戦に出場。ここまでリーグ戦12本塁打。その1つ1つが豪快な本塁打を見せ、スカウトを魅了してきた。さらに大学2年生には大学日本代表を経験し、大学2年秋の明治神宮大会では本塁打を放ち、注目を浴び、スカウトの間ではドラフト上位候補の選手として注目を浴びてきた。
そして佐藤はただ打つだけの選手ではない。
「あんなに肩が強くて、動ける大型選手は日本人ではなかなかいませんよ」
と評するのが田中監督だ。
高校時代、知り合いの指導者を通じて、佐藤は近畿大の練習に参加した。そこで大きな衝撃を受けたという。
「高校時代、彼は捕手だったんですけど、スローイングタイムを試しに測ってみたら、18秒台を計測しており、そして打撃を見てみたら、モノが違いましたね…。すぐにうちで受験してくれとお話しました」
こうして近畿大入学が決まった佐藤。近畿大入学後、全くの無名で、同級生で佐藤について知っている人物はほとんどいない。主将・谷本もその1人だった。
「とにかく体がでかいのが第一印象で、打撃練習をしたら、ものすごく飛ばしていたので、すごい選手が入ってきたなというのは覚えています」

ティーバッティング中の佐藤輝明(近畿大)
田中監督、チームメイトも驚くパフォーマンスを生んでいるのは、規格外のフィジカルだ。ベンチプレスは130キロ、握力は左右ともに75キロ、さらに50メートル6秒フラット。近畿大の首脳陣によると、常にジムでトレーニングをしており、パワーだけではなく、俊敏性の数値も大きく高まっており、さらに「肩が強くて走れて大型スラッガー」として進化を果たしたのだった。
さらに三塁守備にも捕球技術を高めることに磨きをかけ、光元一洋コーチによるとだいぶ守れるレベルになってきたという。
驚異的な長打力だけではなく、守備・走塁にも磨きがかかれば、NPBのスカウトが近畿大の生駒グラウンドに日参するのも当然。さらに人気球団の巨人・阪神が1位候補に挙げたことで、マスコミからの注目度が上がった。