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第1242回 梅野隆太郎以来の「打てる捕手」。福岡工大城東・誉田貴之は自己否定と戦い続けてドラフト候補に2020年10月02日
【目次】
[1]成長を加速させた夏の増量計画
[2]心の成長で不動のものにした「4番・捕手」の座
東西で行われたプロ志望高校生合同練習会で、大きな注目を浴びた投手と言えば福岡大大濠の剛腕・山下 舜平大投手の名前が挙がるが、そこでバッテリーを組んだ同じ福岡県出身の捕手も評価を上げた。
福岡工大城東の誉田 貴之(ほんだ・たかゆき)選手だ。
実戦では2安打を放って、捕手としても軽快なフットワークや強肩を披露。山下投手とバッテリーを組んだ際には、カーブを有効に使う配球で3つの三振を奪った。
「打てる捕手」への期待が懸かる誉田選手。
だがその成長の裏には、チームの柱としての苦心と努力があった。
成長を加速させた夏の増量計画

福岡工大城東・誉田貴之選手
バックネット裏の監督室から練習の様子を眺めていると、誉田選手の姿はすぐにわかった。
一人だけ明らかに体が違う。
178センチ・85キロの体は、大学野球のトップ選手と比較しても遜色はないだろう。
チームの指揮を執る尾嶋恭暢監督は、誉田選手の最も印象的なエピソードに体格面の成長を挙げる。
1年前の夏、誉田選手は2年生ながら4番・捕手としてチームを牽引する立場にあり、県大会5回戦まで進出した。
だが大会を通して誉田選手は本来の力を発揮することなく、ベスト8を懸けた5回戦で小倉工に5対6でサヨナラ負け。
自らの不甲斐なさだけが残り、自己否定の毎日だった。
「夏の大会前にかなり消耗があったようで、6キロぐらい痩せたんですね。それで夏は力を出すことができていませんでした。
そこで新チームがスタートした時に、体重を意識的に増やすよう言っていきました。
本人もかなり意識したようで、夏と秋では体格が変わりましたね。打球の質が変わって、送球も安定してきました。秋の大会でも良いパフォーマンスができて、そこから自信がついていったのだと思います」
このひと夏で増えた体重は何と10キロ。
誉田選手自身も、この夏以降に自信がついてプロを意識するようになったと振り返る。
「一日に何食も食べて、胃に常に食べ物があるような状態でした。
体重も2年秋から一気に増えて、本格的にプロを目指したいなと思ったのもその頃からですね」
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