Interview

投手王国・千葉から急浮上した148キロ右腕・清水大翔(東葉)はいかにして覚醒したのか?

2020.08.05

 毎年、プロ注目投手が現れる投手王国・千葉。無名ながら、注目を浴びている投手がいる。それが清水大翔東葉)だ。175センチ77キロという体格から140キロ前半の速球と浮きながら落ちるスライダーが絶品の本格派右腕だ。昨秋はエースとしてベスト16。将来はプロ野球選手と目標に掲げる清水の歩みに迫る。

注目を集めるきっかけとなった日体大柏戦

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清水 大翔(東葉)

 幼稚園年長から野球をはじめ、軟式の習志野台赤トンボでプレーし、そこから投手を始めた。今のような本格派ではなく、当時は変化球を多めに使って打たせてとる投球を得意とする投手だった。

 東葉に入学したきっかけとして、学校開催の練習会があり、そこで見た先輩たちの姿にひかれた.
「甲子園を目指して練習をしていると聞いて、高いレベルでしっかり野球ができるかなと思って、東葉進学を決めました」

 入学を決める。1年夏からベンチ入りするなど下級生から主力投手として活躍する。清水の意識が変わってきたのは2年夏の大会後からだ。まず同世代でエースを争っていた平 将がケガで出遅れ、そのチャンスとばかりに背番号1を獲得した。

 そしてにわかに注目を集めるきっかけとなったのが、秋季県大会初戦の日体大柏戦だ。清水は上半身と下半身が連動した投球フォームから130キロ中盤の速球と切れの良いスライダーを投げ分け、延長13回を投げ完投勝利。
 「とても自信になった試合でした。スタミナにも自信があったので、投げ切ることができました」と強豪相手に勝利を収めた清水は2回戦でも勝利し、いよいよ春季大会のシード権がかかった中央学院戦に先発するが、連投の影響は隠すことができず、コールド負けを喫した。

 この負けでさらに清水は変わる。
中央学院さんという高いレベルのチームと対決したことでまだ自分は実力が足らないということが分かりましたし、よりトレーニングに打ち込もうと思いました」

 

 まずはトレーニングの量や質にこだわり、そして食べれる選手になるために食事の量を増やした。その結果、入学時は173センチ58キロだったのが、現在では175センチ77キロと増量に成功。今年は自粛期間に入っても精力的にトレーニングを続け、投球動画を見せていただいたが、昨年とはくらべものにならないぐらい下半身、胸板が厚くなった姿があった。

[page_break:脱力感のリリースを求め、球速も大きくレベルアップ」]

脱力感のリリースを求め、球速も大きくレベルアップ

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清水 大翔(東葉)

 また投球フォームの意識も変わった。プロ野球の投手の映像をよく見るという清水。そこで、参考にしたのが岸孝之(東北楽天)だった。伸びのあるストレートを投げたい。そのために「いかに脱力して、最後の瞬間に力を入れたリリースができるか」にこだわった。よく投手が切れの良いボールを投げるために脱力は大事だといわれるが、実行は非常に難しかった。
「最初は全然でしたね。力の入れ加減を間違えると、あまりボールはいかないですし、伸びのあるストレートも投げられない。そのリリースの感覚を調整するのは非常に難しかったですね」

 だが、徐々に投球練習を行い、ようやくリリースの感覚もつかみ、自然とストレートも速くなっていた。自粛期間中に携帯で測ったもので最速148キロを計測。自粛明け後の練習試合では4試合に登板し。好投。NPBのスカウトのスピードガンでは140キロ前後だという。また、変化球も多彩で、スラーブ、ツーシーム、チェンジアップ、縦スラを投げ、特にスラーブは浮き上がって落ちるような軌道で大きな武器となる。

 

 切れの良い直球に加え、変化球の精度も非常に高い。今ではプロ野球選手になりたい思いで日々の練習に臨んでいる。そして自粛期間中から待ち望んでいた夏の大会でのマウンド。1回戦勝ち上がれば、球速表示のある[stadium]QVCマリンフィールド[/stadium]。そこで清水の実力が問われることだろう。

 自分の野球人生を切り開くために、清水の挑戦が始まる。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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