8月10日の「2020年甲子園高校野球交流試合」の開幕戦で登場するのが大分商vs花咲徳栄だ。大分商の豪腕・川瀬 堅斗は強豪校相手に投げることを一番望んでいた。

 

 最速148キロの速球、切れのあるカーブを武器にする本格派で、全国大会に登場すれば評価が急上昇する可能性も秘めた川瀬の決意に迫る。

 2020年は勝負の1年だった。

 昨秋は九州大会準優勝。大きな手応えを掴んで冬の練習に入っても、球数を少なくしながら、投球練習を行って調整を行った。

 また好投手の映像を見て研究。大分商の大先輩である森下 暢仁(広島東洋)、千賀 滉大(福岡ソフトバンク)の動画を見て研究を行うなど、レベルアップに努めてきた。しかし2月下旬に新型コロナウイルス感染拡大の影響で休校期間に入り、センバツ中止の瞬間も、自宅で聞いてきた。その後、仲間と励ましながら、前進をしてきた。甲子園中止が決まった後、主将として前を向こうと話をしてきたが、甲子園の舞台で活躍し、兄・晃(現・ソフトバンク)と同じく、プロ野球選手になりたい思いがあった川瀬にとってはショックは隠せなかった。

 だが6月10日、甲子園で交流試合で開催されることが決定し、川瀬は「本当に嬉しかったですね。やっと甲子園の舞台でプレー出来るという思いから全員で喜び合いましたし、甲子園で投げられることに嬉しく思います」

 6月11日以降は俄然と練習のモチベーションも高まった。
「今まで以上にやる気が湧いてきましたし、チーム全体でモチベーションは高まったと思います」

 川瀬は長い自粛期間で、自主的に練習をしてきたとはいえ、ユニフォーム、スパイクを履いての練習は長いことやっていなかった。対外試合が再開されると、ダブルヘッダーの試合の場合、特に2試合目で疲労により集中力が落ちることを実感。

 試合がない日では体力トレーニングもしながら、少しずつ試合にプレー出来る体力を戻す努力をしてきた。

 川瀬の起用法は先発が中心。6月下旬の国東高校との練習試合で、8回を投げ無失点の好投。調子は挙がってきており、終盤でも145キロを計測し、またチーム内の紅白戦では最速148キロをマークするなど、仕上がりの良さが伺える。

 現状の課題は変化球の制球力だ。
「まだ不利なカウントになるとそのままいってしまうので、3ボールからでも変化球で高確率でストライクを取れるように投球練習を行っています」

 ちょうど電話取材したときは交流戦の抽選の直前で、川瀬は「出場31校はどこも実力のあるチームだと思いますが、その中でも優勝候補と呼ばれるチームと試合をして実力を試したいと思っています」と語っていたが、その言葉通り、花咲徳栄と試合することが決まった。

 花咲徳栄は高校通算48本塁打のスラッガー・井上 朋也を中心とした強力打線は全国レベル。川瀬の実力を試すには絶好の相手だといえるだろう。

 まずはその前に独自大会優勝を目指す。20日の日本文理大附楊志館の勝者と初戦を迎え、高卒プロ志望を掲げる川瀬にとってはこの夏の一戦一戦が大事となる。

 九州屈指の豪腕はこの夏の大会で勝ち続け、「全国トップレベル」の投手であることを証明する。

(取材=河嶋 宗一


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