Interview

ポイントは右踵のタイミング!高校通算32本塁打の作本想真(大村工)がホームラン量産態勢に入れたワケ【後編】

2020.07.14

 九州大会でベスト4に入った創成館や昨年の茨城国体に出場した長崎海星などがひしめく長崎県。その名が先で強打を武器に秋の県大会でベスト4まで勝ち上がったのが大村工。夏は1回戦で姿を消したが、秋に結果を残し県内に存在感を示した。

 その大村工をバットで牽引するのが作本想真だ。身長188センチ86キロの大柄な体格から長打を放ち、12日の試合までで高校通算は32本塁打と同世代の中でも屈指の数字だ。さらに投げては140キロを投げる肩の強さを持っている作本はいかにして誕生したのか。そのルーツに迫る。

ポイントは右踵のタイミング!高校通算32本塁打の作本想真(大村工)がホームラン量産態勢に入れたワケ【後編】 | 高校野球ドットコム前編はこちらから!
長崎に現れた高校通算32本塁打の長距離砲・作本想真(大村工)!ブンブン丸と呼ばれた悔しい時期を乗り越えて【前編】

タイミングが取り方をマスターするまで

ポイントは右踵のタイミング!高校通算32本塁打の作本想真(大村工)がホームラン量産態勢に入れたワケ【後編】 | 高校野球ドットコム
作本想真(大村工)

 好不調の波は1年間続き、なかなかコンスタントに結果を残すことが出来なかった作本。4番として打線の中軸を担いながらも、悔しさを感じながら練習を重ねてきた。そして、2年生の夏の時には4番から1番に繰り上がり、チームの核弾頭としての役割を担うも、初戦の壱岐に0対4で敗れる。

 最上級生となった新チームで作本はポイントの重要性に気づく。

 「新チームが始まるまではホームランは8本くらいだったんですけど、とにかくしっかりタイミングを合わせて、自分のポイントで打つことを大事にし始めました。そうしたらホームランを打てるようになりましたが、ポイントが前過ぎでも差し込まれてもダメなので、探すのは苦労しました」

 自分の間合いを探すべく、作本はトスバッティングの取り組み方を大事にした。

 「トスバッティングからタイミングの取り方を練習して、ピッチャーの体重移動に合わせて、浮かせておいた右足の踵を下ろすことでタイミングを計って打つようにしました」

 これは現役時代に甲子園を経験し、四国学院大硬式野球部の監督も経験している野球解説者・山中晴司氏による指導とのことだが、これによって作本のバッティングは激変。3試合に1本のホームランを打つ量産体制に突入。

 さらにティーバッティングやフリーバッティングの取り組み方の変化も、作本の急成長を促した。

 「ティーバッティングといっても、トップの位置を作るためのメニューなどいくつか種類がありまして、それを取り組んだこと。そしてフリーバッティングでも遠くに飛ばすのではなく、同じ場所に打ち続けることをイメージしてやっていました」

 同じ場所に打つためにはポイントを同じにしなければならない。作本は飛ばすことよりも、同じ場所に打ち続けることを大事にしたことで自分のポイントを見つけ出した。これが量産態勢に入る大きな要因となった。

[page_break:チームのためにチャンスで結果残す]

チームのためにチャンスで結果残す

ポイントは右踵のタイミング!高校通算32本塁打の作本想真(大村工)がホームラン量産態勢に入れたワケ【後編】 | 高校野球ドットコム
作本想真(大村工)

 

 昨秋の大会でチームはベスト4進出。作本も高校通算28本まで積み重ね、県内に存在感を示した。注目を浴びる中で作本はオフシーズン中、「センター方向へホームランを打てるようになる」ことを目標に掲げて練習に打ち込んだ。

 「秋まではレフト方向ばかりでしたが、引っ張ってホームランを打てる選手は全国を見れば沢山いると思うんです。だから、センターにホームラン打てる選手が本当にいい打者だと考えて、トレーニングや素振りはやりました」

 しかし新型コロナウイルスの影響で活動は自粛。作本は素振りやトレーニングといった自宅で出来る練習をメインにしながら、トスバッティングも100~200球打ち込み、課題だったタイミングの取り方の改善に努めてきた。

 またピッチャーとしても夏に登板できるよう、走り込みにも力を注ぎ、身体を絞って練習再開を待った作本。しかし5月20日に夏の甲子園は中止となり、地方大会も中止となった。その時は、「大会が無くなったことを聞いたときは少しチームの雰囲気は悪くなりました」とチームには大きなダメージを与えた。

 だが5月22日、長崎県高校野球連盟は独自大会を開催することを発表した。それを聞いた作本は、「長崎の頂点は取りたいという想いは強くなってきた」と優勝を見据えて練習に取り組むようになっている。

 現在は変化球へのタイミングの取り方、そして持ち味である大きなスイングを忘れないことを課題にして練習をしている作本。最後に独自大会への意気込みを語ってもらった。

 「自分の前にチャンスを作ってくれると思うので、1試合1試合に集中して、『もうないんだ』と思ってしっかり得点を重ねていきたいと思います。自分の結果よりもチームの結果を優先したいと思います。それで優勝した時に、初めて甲子園がないことで涙を流したいと思います。」

 高比良俊作監督は「体が絞れて、キレが出てきている」と作本の現在の状態を語る。1年前までは8本塁打だった作本だが、急成長を遂げて32本塁打まで積み重ねてきた。その実力を最後の大会で遺憾なく発揮すれば、長崎の頂点も見えてくれるのではないだろうか。

(取材=栗崎 祐太朗/文=田中 裕毅

関連記事
炭谷銀仁朗、今永昇太など7名のプロ選手が新たに『ミズノ ブランド アンバサダー契約』を締結!
埼玉西武ライオンズパ・リーグ連覇! 2人の脇役がかける「走らない」プレッシャー
第15回 龍谷大平安(京都)編「超伝統校・平安の直近のつながり!」

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.18

【神奈川】保土ヶ谷球場では慶應義塾、横浜が登場!東海大相模は桐蔭学園と対戦!<春季県大会4回戦組み合わせ>

2024.04.18

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18

首都二部・明星大に帝京のリードオフマン、東海大菅生技巧派左腕などが入部!注目は184センチ102キロの大型スラッガー!

2024.04.18

【春季埼玉県大会】ニュースタイルに挑戦中の好投手・中村謙吾擁する熊谷商がコールド発進!

2024.04.18

【岡山】センバツ出場の創志学園は2回戦から登場! 2回戦で昨年夏の決勝戦と同じカードが実現の可能性も!<春季県大会地区予選組み合わせ>

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.17

仙台育英に”強気の”完投勝利したサウスポーに強力ライバル現る! 「心の緩みがあった」秋の悔しさでチーム内競争激化!【野球部訪問・東陵編②】

2024.04.15

【春季和歌山大会】日高が桐蔭に7回コールド勝ち!敗れた桐蔭にも期待の2年生右腕が現る

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード