Interview

「打撃技術は歴代ナンバーワン」と指揮官も絶賛するスラッガー・山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)の才能の高さを徹底解剖

2020.07.03

 「山内はまだ1年生ですが、実力は間違いありません。2年後楽しみにしてください」

 2018年10月、ボーイズリーグの日本少年野球選手権で準優勝を果たした武蔵狭山ボーイズの取材に訪れた際に、飯野靖典監督が一押しの選手として名前を挙げたのが山内教輔選手だった。

 左投げ左打ちで、ユニホームの着こなしも様になっている。
 当時から1年生とは思えぬ程投打で存在感を放っており、その成長に注目していたが、その後も右肩上がりに力をつけていき、今年の中学生ではトップクラスの実力者となった。

 「打撃に関しては歴代でもナンバーワン」と飯野監督も唸らせる山内選手。
 その成長について迫った。

「お前をプロ野球選手にする」と言われ武蔵狭山ボーイズに入団

「打撃技術は歴代ナンバーワン」と指揮官も絶賛するスラッガー・山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)の才能の高さを徹底解剖 | 高校野球ドットコム
山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)

 投手としては130キロ前半の直球を軸に総合力の高い投球を見せ、また打者としては非常に柔らかいスイングから長打を連発する山内選手。

 小学校時代はヤクルトスワローズジュニアでプレーした経験を持ち、また父である山内英雄さんは横浜ベイスターズでプレーした元プロ野球選手であるなど、これまでに過ごしてきた環境からもエリートと言えるだろう。

 小学生時から投打で才能を見せていた山内選手だが、さらなるレベルアップを目指してボーイズリーグの強豪・武蔵狭山ボーイズへ入団を決める。

 「元々は違うチームへの入団を考えていたのですが、飯野監督から電話があり、お前を必ずプロ野球選手にすると言われました。監督の気持ちがグッと心に響いて、ここでレベルアップしたいと思って入団しました」

「打撃技術は歴代ナンバーワン」と指揮官も絶賛するスラッガー・山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)の才能の高さを徹底解剖 | 高校野球ドットコム
山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)

 入団後、先輩たちのプレーを見たときは「自信が持てなくなった」と振り返るが、体の成長とともに徐々にチーム内でも存在感を見せ始める。
 1年の秋には主力投手の一人としてマウンドに立ち、また打撃でも中軸を任されるなど、中心選手の一人として欠かせない存在に。

 2年夏に上級生が引退すると新チームでは主将も任され、プレー以外の面でもチームを牽引している。

 「入った頃は、110キロ台後半くらいしかスピードはありませんでしたが、練習でのトレーニングやランニングを続けることで、1年で10キロくらい球速が伸びました。

 バッティングでは、気持ちが前に出過ぎて体が突っ込むことが多かったので、飯野監督からは気持ちを抑えていこうとよく言われていました。
 今はどんな時も冷静にプレーできるようになったと思います」

[page_break:自分には自分に合った形がある]

自分には自分に合った形がある

「打撃技術は歴代ナンバーワン」と指揮官も絶賛するスラッガー・山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)の才能の高さを徹底解剖 | 高校野球ドットコム
山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)

 そんな山内について、飯野監督は「怪物です」とその才能に太鼓判を押す。
 投手としての完成度や打者としてのスケールは、歴代でもトップクラスだと話し、高校野球でも投打で活躍を見せて欲しいと期待を込める。

 「投手としてもストレートは速いですし、投げるだけではなくて牽制やフィールディンも抜群です。
 バッティングでも、高めでも低めでもどんなコースでも捌きますし、(カーブやチェンジアップなど)抜かれた変化球でも拾って長打にできます。左投手も苦にせず対応力も高いですし、練習では木のバットでもスタンドに入れます」

 それでも山内は、現在の実力に納得する様子は見せない。
 投打での更なるスケールアップと、体力面を今後の課題に挙げ、「今のままでは高校では通用しない」と危機感を滲ませる。

 「ピッチングでは、いつも序盤から飛ばしてしまい、後半に良いボールがなかなか続きません。後半にバテないように体力をつけていきたいと思います。
 バッティングは、今のところ良い感覚で打てていると思いますが、高校になるとまたレベルも上がるので、より高いレベルをイメージしていきたいと思います」

「打撃技術は歴代ナンバーワン」と指揮官も絶賛するスラッガー・山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)の才能の高さを徹底解剖 | 高校野球ドットコム
山内教輔(武蔵狭山ボーイズ)

 また山内選手に話を聞く中で、非常に興味深かったのが「参考にする選手はいない」と言った点だ。
 言葉だけを聞くと、唯我独尊のスタイルを貫いているように感じられるが決してそうではない。

 かつて様々なプロ野球選手のフォームを模倣して試行錯誤したが、なかなか自身に合う形が見つからなかった経験があるためだ。以来、山内選手は誰かの真似をするのではなく、自分の感覚に合う形だけを意識していると明かした。

 「自分には自分のタイプがあると思うので、しっかりと自分の形作っていくことができればといつも思っています。YouTubeを見てフォームなど参考にすることもないですし、これだという形もこれまでにもありませんでした」

 中学校を卒業後は、高校で甲子園優勝を果たし、高卒でのプロ入りを目指すという山内選手。技術の面はもちろんのこと、思考の深さや気持ちの強さを見ても、期待は非常に大きい。今後の活躍にも注目だ。

(取材・文=栗崎祐太朗

関連記事
通算20本塁打以上のスラッガー2名、二塁送球1.9秒台の強肩捕手など関東地区注目8名のスーパー中学生
須貝将希(武蔵狭山ボーイズ)を変えた監督の叱咤激励!成長の糧を得た二刀流プレーヤーに迫る
ボーイズ日本代表入り!永井龍樹(武蔵狭山ボーイズ)が思い描く理想のアーチストに迫る!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.16

【春季埼玉県大会】2回に一挙8得点!川口が浦和麗明をコールドで退けて県大会へ!

2024.04.16

【群馬】前橋が0封勝利、東農大二はコールド発進<春季大会>

2024.04.16

社会人野球に復帰した元巨人ドライチ・桜井俊貴「もう一度東京ドームのマウンドに立ちたい」

2024.04.17

「慶應のやり方がいいとかじゃなく、野球界の今までの常識を疑ってかかってほしい」——元慶應高監督・上田誠さん【新連載『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.1】

2024.04.16

【12球団4番打者成績一覧】開幕ダッシュに成功した4番はOPS1.1超のWBC戦士!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!

2024.04.15

四国IL・愛媛の羽野紀希が157キロを記録! 昨年は指名漏れを味わった右腕が急成長!

2024.04.12

【九州】エナジックは明豊と、春日は佐賀北と対戦<春季地区大会組み合わせ>

2024.04.11

【埼玉】所沢、熊谷商、草加西などが初戦を突破<春季県大会地区予選>

2024.04.09

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.14

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.03.23

【春季東京大会】予選突破48校が出そろう! 都大会初戦で國學院久我山と共栄学園など好カード