奥村真大(龍谷大平安)はなぜプロ志望を公言したのか?そして狙うは「兄超えの一流選選手」【後編】
プロ注目の強打者として知られている龍谷大平安の奥村真大。
プロ野球選手である兄・展征(ヤクルト)の背中を追ってプロ入りを目指している。
後半となる今回は、自粛期間中の過ごし方やプロ入りを目指す背景について迫っていく。
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3世代で甲子園を経験!奥村真大(龍谷大平安)の持ち味は類まれな勝負強さ【前編】
自粛期間でも体重増加に成功
奥村真大(龍谷大平安)
新型コロナウイルスの影響による約3ヶ月の休校期間で最も変わったのは体つきだ。「自分は量をたくさん食べられない体質だったので、一回の夕食の時にお腹いっぱいになるくらい食べて、胃を膨らますことを継続しました」と地道な努力を重ねたことで体重は70㎏から80㎏に増えていた。実は体重を増やすことになったのは昨年のセンバツで連絡先を交換していた来田 涼斗(明石商)の影響があったという。
「コロナ期間にどういう練習しているのか気になって、来田に連絡してみたら、『体重を増やしていこう』という話になって、自分の体重を言った時に『それはヤバい』と言われてしまいました。『ノルマを決めろ』とあっちから言われて、それが体重を増やすきっかけになったと思います」
明石商とは1年秋の近畿大会決勝で対戦しており、その時から来田に対して「負けたくない」とライバル意識を抱いていたという。実力を認める相手に対して貪欲に質問をして、自らを高めようとしてきた。
技術面でも実家の近くにあるグラウンドが空いていれば、積極的に活用して腕を磨いた。「ブランクがあってもすぐ動けました」とシートノックでも好プレーを連発しており、自主練習の成果を感じさせられた。そして、何より徹底してきたことがとにかくバットを振るということだった。
「寝られない時はバットをベッドの横に置いているので、それを持って部屋で素振りをしていました。バットを振ることによって良い感じで寝られるので、徹底してやっていましたね」
昼夜問わずバットを振り、体重が増えたことで「(平安のグラウンドに)帰ってからは打球も変わりました」と成長を実感している。また、この期間で奥村はある決断をした。それはプロを目指すということだ。
[page_break:自分の成長のためにあえて厳しいプロの世界を目指す]自分の成長のためにあえて厳しいプロの世界を目指す
奥村真大(龍谷大平安)
「プロ野球選手になるのは厳しいと思っていたんですけど、センバツがなくなりました。センバツに自分が出られず、他の選手が出ているので、差をつけられていたんですけど、それがなくなったことによって成長した姿を他の選手も見られていないわけなので、ここで自分がどれだけ成長するかが問題だと思い、この期間で気持ちは変わりました。プロ野球選手になれるチャンスが少しでもあるなら、プロを目指そうと思いました」
こうした背景もあり、6月1日にチームが再始動した時の囲み取材でプロ志望を表明。原田監督は「何かを決意したのか、目つきが変わりましたね」と振り返る。
7月11日から開幕する代替大会では木製バットで臨む予定だ。その中でも最後の夏は平安のプライドを懸けて勝利を目指すつもりでいる。
「3年生だけで試合ができることになっているので、真剣勝負で試合に勝つと決めています。成長した姿を見せるのを一番に考えてやっていますし、このコロナ期間中で平安の選手はしっかりやってきて、他の学校とは動きが違うというのを見せたいので、最後まで平安に恥じないようにやりたいと思います」
そして、その先にあるのがプロの世界だ。兄を超えることを第一の目標としているが、そこで満足するつもりはない。
「兄を超えるという目標はありますけど、超えるだけなら二流だと思っていますし、目指すなら一流の選手になりたいと思っています。最後に球界の名に残る選手になりたいと思って練習しています」
プロを目指す奥村に対し、この2年間、見続けてきた原田監督は
「まだ下級生のときは無心でやっていたので、思い切って出来る。そのため結果が出ていました。結果が出るようになると、上達するためにいろいろ考えこむところがあり、なかなか打てない時がありました。
ただ高いレベルでプレーするということは、そういうことの連続です。壁にあたった時、色々考えて乗り越えていかないとダメですから、彼が考えてできるようになった時、さらに成長ができると思っています」
壁を乗り越えるための思考力がさらなる成長のカギだと考えている。
1年生の頃から血縁関係で注目を浴びてきた奥村は実力で上のステージに挑む。兄に続いてプロ入りすることはできるだろうか。
(記事=馬場 遼)
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