超前向きな世代屈指の遊撃手・土田龍空(近江)。名将も評価するメンタルの強さを武器に躍動を【後編】
世代屈指の遊撃手として名高い土田龍空(近江)。1年夏から正遊撃手の座を掴み、甲子園でも攻守にハイレベルなプレーを見せた。最後の夏に甲子園でプレーすることはできなかったが、既に今秋のプロ入りに向けて気持ちを切り替えている。
最上級生となってからは主将となり、この1年間で心身ともに大きく成長した。後編となる今回は、現在の課題やプロ入りに向けた想いなどについて伺った。
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世代屈指の遊撃手・土田龍空(近江)。社会人の練習参加、意識改革で守備のレベルは急上昇【前編】
打撃面でも木製バットで練習。練習試合で本塁打を打つなど仕上がりは順調
土田龍空(近江)
超高校級の守備を誇る土田だが、高校通算28本塁打を誇る打撃面も魅力である。土田はプロ入りを見据えてこの冬から木製バットで打撃練習を行っており、「木製の対応はほぼできていると思います」とバットの対応にも自信を見せている。
その中で「自分はまだまだ力がないので、どうしたら打球が飛ぶのかであったり、下半身の使い方を工夫して打球のスピードを速くしていきたいと思います」と課題を持って練習に取り組んでいる。
土田の打撃について多賀章仁監督は長所と短所をこう指摘する。
「まず彼が良い時というのはインコースに対してもバットが内側から出て、しっかりと肘を畳んでコンパクトに捉えた時の打球は素晴らしいものがあります。
ただ、課題なのは打つ時に長打を打ちたいがために、テークバックを大きく取って、捻りを入れすぎた打ち方になる時があります。そうなるとロスが生じて結果が良くないので、改善事項があるので、さらに良くなることを期待しています」
攻守ともに昨年よりも成長する姿を見せるはずだったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、春季大会は中止。近江も3月から5月までは一時期を除き、練習できない時期が続いた。
休校期間中は近所にある砂浜でのダッシュやジムで筋力トレーニングに励んでいた。「家にいるからできないのではなく、家にいるからこそやれることを自分で探してやっていました」と気持ちを切らすことなく、鍛錬を続けてきた。
指揮官も驚かせた土田の切り替えの早さ
土田龍空(近江)
最後の夏があると信じていたが、5月20日に夏の甲子園中止が発表された。
「去年は3年生に迷惑をかけてしまったので、今年の夏は絶対に結果を出して、恩返しをしようと思っていた」と意気込んでいただけに決まった当初は落ち込んだという。だが、「すぐ切り替えて、自分の目標に向かって一生懸命やるだけだと思いました」という想いを込め、その日の夜にTwitterで以下の内容で投稿した。
「最後の夏中止になりました。
とても悔しいです。
でも落ち込んでる暇なんてありません。
さあ今です。皆んなで元気出して立ち上がりましょう!!」
多賀監督はそんな土田の気持ちの切り替えの早さに感心していた。
「こんなことで落ち込んでいられないと、パッと切り替えられる早さは驚きましたね。それも彼の良さです。入ってきた時からプロ志望で、高校3年の秋にドラフト指名される選手になるために精進してやっていくんだという決意で臨んできました。こういうことになりましたけど、あれをきっかけに野球への想いが強くなったと思えるようにしてほしいなと思います」
甲子園がなくなった悔しさはありつつも、プロ入りという次の目標に向かって練習を続けている。取材前日の8日には滋賀県での代替大会開催が決まった。近江は土田が試合に出るようになった一昨年の夏から県内で公式戦無敗を続けている。もちろん、最後も優勝して終わるつもりだ。
「開催は率直に嬉しいです。今は全員で3連覇という目標を達成するために練習を頑張っています。近江一強でこれからもずっと行ってほしいですし、自分たちの代で連勝記録を途切れさせるわけにはいかないので、この滋賀大会も全力で戦い抜きたいと思います」
今年は有望な新入生が多数入ったこともあり、多賀監督は今年の夏で優勝できれば、再来年までの5連覇も狙えると自信を見せている。甲子園を懸けた戦いではなくとも、近江としてのプライドを背負って最後の夏を戦うつもりだ。
そして、その後は秋のドラフト指名を待つ。
「プロに行ける自信は正直、あります。小さい頃から自分に自信を持ってきたので、今でも行けると信じてやっていますね」とプロ入りには絶対的な自信を持っている。アピールする機会は限られてしまったが、最後の夏に少しでも評価を上げたいところだ。
「今まで支えてきてくれた人に恩返しをして、子供から憧れられるような選手になりたいと思います」と将来の目標を語った土田。プロでも遊撃手としてチームを代表するような選手になれる可能性は十分にある。多くの高校野球ファンを魅了してきたファンタジスタは球界のスターになることができるだろうか。今後の活躍に期待したい。
(記事=馬場遼)
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