Interview

オリックス・山岡泰輔が語るタメになる投球理論vol1 「トレーニングの意識、取り組みが投球フォームにつながる」

2020.06.13

 現代のプロ野球は150キロを超える速球投手が非常に多くなっている。その中でもひときわ存在感を示しているのがオリックスのエース・山岡泰輔瀬戸内出身)だ。172センチ68キロと細身の体型から常時140キロ後半の速球、多彩な変化球を投げ込む投球スタイルで、プロ1年目から先発ローテーション入り。

 昨年は13勝を挙げ、プレミア12も経験した。プロ野球投手の中でもサイズが小さくても、超一流の投球を魅せる山岡に憧れる高校生投手は日増しに多くなっている。そんな山岡に自身の投球論をたっぷりと語っていただいた。

100の力を使うために瞬発系トレーニングを中心にあらゆるトレーニングにこだわりを持っている

オリックス・山岡泰輔が語るタメになる投球理論vol1 「トレーニングの意識、取り組みが投球フォームにつながる」 | 高校野球ドットコム
インタビューに答える山岡泰輔投手

 172センチ68キロというサイズはプロ野球の投手としては細身で、サイズもそれほど大きくないが、山岡は全くハンディとして感じていない。むしろ大きい投手より100の力を発揮できると語っている。

 「やはりバランスというのは大きい人の方が体を使うのが難しかったりすると思います。 それを大きい人は、例えば140キロしか出ない人は自分の体の60%や70%しか使えてない。僕はこの小さい身体というのがあったので、バランスよく使うために自分の持ってるものの100に近いパワーで出力を出せるから150 km 出せると思うんです」
 自分が持っているポテンシャルを100使うために、山岡は様々なトレーニングに取り組み、そのトレーニング内容は多くのプレイヤーから人気だ。まず1つ1つのトレーニングに対する考え方について聞いてみた。

――まず現代ではとても重要視されているウエイトトレーニングについてはどのように考えていますか?

山岡:ウエイトトレーニングは僕は大事にしています。その筋肉をしっかりと使える技術があるのならば、大きくした方がいいと思います。投げるのは筋肉ではないと思うますし、投げる時に使う筋肉などがあると思います。

 そこをうまく使うようなトレーニングをすることが大事だと思うので、重さではないかなと思います。重さももちろん大事ですけど、重さだけを求めてやるんだったら少し違うと思います。小さい人とか絶対挙げれないので。

――山岡選手は具体的にはどんなトレーニングをされていますか?

山岡:もちろん普通のウイエトもやりますし、瞬発系やジャンプもやりますし、あとは体幹トレーニングもやります。

ーーランニングはどうですか?

山岡:走り方は体のバランスを見るためには、ある程度は必要だと思います。ですが僕は必要ないと思いますので、あまり走ることはないです。

 走る体力と投げる体力はやってみて全然違うので、僕はそこまで凄く多く走り込む事はいらないかなと思います。

では投手でこれが必要だなと思うトレーニングありますか?

山岡:僕が実際に試して変わったのが、瞬発系のトレーニングだと考えています。一気に力を出すトレーニングを行って、やはり出力がでるようになりました。

 ジャンプ系トレーニングなど瞬発力を高めるクリーン系トレーニングやメディシンボール投げなど、そういった一気に力を伝えるようなトレーニングはやってみて良かったと実感しています。

[page_break:投球フォームは連動性が大事。下から上に伝えるイメージで]

投球フォームは連動性が大事。下から上に伝えるイメージで

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ピッチング練習をする山岡泰輔投手

 また山岡は遠投をとても大事にしており、ほぼ毎日行っているという。
 「遠投はすごく大事にしています。距離としては80メートルぐらいです。自分の中で遠投というイメージはなく、キャッチボールとして捉えています。
 身体のバランスといいますか、遠投は力の入れどころが良くないと遠くに投げることができないんです。そういう体の使い方は投球に生きていて、遠投するのはすごくいいんじゃないかなと思います」

 投手の基本であるキャッチボールについてどう考えているのか。また取材日では高い位置で離しているように見えたが、その辺りについて触れるとこう答えてくれた。
 「後ろ過ぎても力が入らないし、前過ぎても力が入らないし、ちょうどいいところだと思っています。体だけを前に持っていけばリリースポイントが前に行くので、そこで力を入るところを探している感じですね」

 こうして1つずつ投手の基本練習を聞いていくと、投球フォームの考え方が見えてくる。山岡は上半身、下半身の連動性を大事にしている。

 「まず上半身、下半身は連動して動くということは意識しています。
 投げる時間は短いですし、その短い時間の中で、上と下を別々で仕切って動くというのは無理だと思っています。僕の場合、なるべく一緒に下から上に伝えていくっていうのは意識しています。基本的には下からの連動で上がついてくる感じです。
 実際にフォームの部分で細かく言ったら意識することはすごくたくさんあると思うんですけど、その流れを自然にできるように、ウエイトトレーニングや瞬発系トレーニングを取り入れています」

 山岡のフォームはいわゆる縦振りのフォームである。投げるポイントは余計な力を入れないことだ。
 「一番は力を入れないこと、テークバックの時に力を入れてると腕が上に上がらないので、力を抜いたまま投げる瞬間だけ力を入れるようにしています。
 力を入れるという言い方も少し違うんですが、スムーズに投げられるような形を作ろうとしています」

 山岡が語ったイメージは投手経験者からすれば、非常に難しい動きだと感じるはず。山岡は自分のイメージ通り投げられるために、トレーニング、キャッチボールから細部までこだわり、理想の動きを自然な形にできるように、日々研鑽を積んでいるのだ。

 そういった積み重ねが第一線でプレーができる理由だといえる。続いては山岡が語る変化球理論について迫っていきたい。

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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