目次

[1]「スポーツをする意味や価値」を見出すために
[2]「社会に対応し活躍できる」人物を柔軟性を持って育てたい

「社会に対応し活躍できる」人物を柔軟性を持って育てたい



2013年には高知高校の監督として和田恋(巨人)を輩出した

――実際に選手たちと顔を合わせてみないと、という部分もあるでしょうが東京ヴェルディ・バンバータでこういう育成をしたいという想いはありますか?

島田コーチ 漠然とした言い方になりますが「社会に通用する人間」を育てたいです。これからの世の中はこれまでとは大きく変わってくる。特に現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、今まで以上に人と人との付き合い方などが難しくなってくる。以前以上に自主性や指示を待つのではなく、自分から動けるようにならないと。社会が変わってくれば、求められるものも変わってくるわけですから。

 その一方で「人間性がちゃんとする」などの根っこの部分は変えたくない。社会に出て活躍できる、1人の人間として働ける人物を育てる。その先に人がいる以上AIやコンピューターでは出せない人間力を育てていく……、もっと言えば選手たちと一緒になって探っていきたいです。

 だって、自分だってはっきり言えば迷ってますから。今までは野球界を中心にして生きてきたわけですが、監督を長く続けていると、侍ジャパンU-18代表コーチなどを通じて様々な方と交流させて頂いても、知らず知らずのうちにインプット量が少なくなってしまっていたんです。野球界から離れた生活をしているうちに自分自身の勉強不足・力不足を痛切に感じたので、自分自身も成長したい想いは強く感じています。

――高知高校監督時代の島田コーチは固定概念にこだわらず、可能性を広げていく選手育成も特長でした。たとえば木下 拓哉(中日ドラゴンズ)は高校で投手から捕手に転向。和田 恋(東北楽天ゴールデンイーグルス)も高校で様々なポジションを経験させていましたよね?

島田コーチ 育成を行う上で「自分の感覚」は大事にしています。考え方に柔軟性を持っていないとダメだと思っているので。そういった育成をしていくことで選手自身が変わっていくこともあると思います。

 ただ、そういった柔軟性のある指導を自信をもってやっていくためには、常に勉強していないといけない。木下や和田の事で言えば、彼らの練習を日々見ていく中で思いつきでなく「こうした方がいいんじゃないか?」という考えを持ってアドバイスしてきた面があるんです。

 とはいえ、プロ野球(NPB)に行く選手は木下にしても和田にしても公文(克彦・北海道日本ハムファイターズ)にしても二神 (一人・現:阪神タイガース広報)にしても「僕が教えた選手」ではなく「勝手に行った選手」と僕は思っています。言ってしまえばプロ野球選手になったのは1学年30名として13年で390人の選手と接した中での1%くらい。あとの99%は異なる道。社会人になるために必要な面を育てないといけないと思っていました。

 ですから、その柱は東京ヴェルディ・バンバータのアカデミーでも変わらない。プロ野球選手になる選手は最終的にはプロ野球選手になりますから、むしろそうならない子どもたちをいかに鍛えていけるかが大事だと思っています。

――それでは最後に今回はじめて「プロコーチ」として契約する島田コーチから、改めて中学球児、高校球児、そして旅立つ四国に対してのメッセージをお願いします。

島田コーチ 僕は今回、東京ヴェルディ・バンバータさんで勝負をさせて頂きますが、アプローチが違うだけで野球界・スポーツ界の人材を育成し広げていきたいことや、スポーツをすることの意味や価値を求めていくことは皆さんと同じ想い。大きく世の中が変わろうとしている中、これからは自分自身が四国でお世話になったことをベースにジャンプアップいきたいです。

 そして中学球児、高校球児も、野球がなかなかできない今だからこそ「スポーツをする意味・価値」をもう一度考えてほしいし、その素晴らしさを伝えてほしいです。自分もその部分をもっと追究していきたい。自分自身も楽しみにしています。

島田コーチ、ありがとうございました。

(記事=寺下 友徳


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