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JFE東日本のスラッガー・今川優馬が語る打撃理論はシンプルでも具体的だった!【前編】
回り道があったからこそ自分の引き出しを増やすことができた

今川優馬
打撃動作の1つずつの役割、目的を語っていただいた今川。ここまでの話を聞くと、あることに気づく。今はアッパースイング、レベルスイングなどいろいろな方法がある。とはいえ、打撃の共通点は同じだ。それは今川も同意する。
「ポイントは同じですね。インパクトまで勝負で、どんなスイング軌道でも当たってからが勝負です」
今川は大学時代からアッパースイングに改造し、長打力を大きく伸ばした。そこには大きな苦労があったという。その中で打撃のヒント、自身の理論を築き上げてきた。
「結果的に僕は遠回りしてきました。できれば、最短でできれば理想ですけど、最短でいくだけでは、いざ不調になった時、戻し方が分からないです。今のスイングに至るまで、自分はいろんな打ち方を試してきました。
自分も不調に陥った時、こうしておけば戻れるというのがあるので、良かった点だと思います」
だからこそいくつかのスイングを持ったほうが良いと今川は語る。
「投手は打者のタイミングを崩して投げてくるわけで、打撃練習だけで気持ちよくなってしまってもよくありません。崩された中でも強い打球を打てるか。その中で引き出しがあることには越したことがないですね」
今川の打撃練習を見てみると、ジャストミートして捉える打球もあれば、もちろん打ち損じもある。その中で泳ぎながら、右中間へ鋭い打球を打っている場面がいくつかあった。もちろん偶然ではなく、狙って打っているもの。崩されても強い打球を打つことも心がけており、対応力を高めるために、ブルペンに入って投手のボールを見ている。
「JFE東日本は、色んなタイプの投手がいて、ボールのキレも素晴らしい投手ばかりです。そういう投手たちの球筋を見るだけでも全然違います」
その中で今年は対応力を磨いて、出塁率を高めることを意識した。
「今までは2ストライクになってもフルスイングすることを意識しました。今回は2ストライクになっても強くスイングすることは意識する中でも、しっかりとボール球を見極め、四球を選ぼうと考えました」
結果、まだオープン戦の本塁打は1本だけだが、四死球率は高まり、結果的に出塁できる選手となっている。常に本塁打を打てるわけではないからこそ、一打席の内容を高めて、さらに打ち取りにくい、嫌らしいスラッガーへ化けようとしている。