大阪桐蔭戦で好投し、注目を浴びた193センチ右腕・達孝太(天理)。憧れはダルビッシュ有
193センチの大型右腕・達 孝太。この男が一躍注目されたのは、昨秋の近畿大会決勝戦だった。果たして、この男の今後の目標とは。
想像以上だった大阪桐蔭戦の快投
193センチの大型右腕・達 孝太
11月4日、近畿大会決勝 大阪桐蔭戦。達が一気に注目を浴びた試合だった。193センチの長身から140キロ前後の速球、切れのあるスライダー、カーブ、フォークを投げ分け、7回まで1失点。8回に集中打を浴び、降板をしたものの、全国トップレベルの大阪桐蔭打線に抑え込んだ投球は大きなインパクトがあった。
達は「高校入学して一番楽しかった試合でした」と笑顔で振り返る。この快投劇は送り出した中村監督にとっても「予想以上の言葉をはるかに超えるものでした。多少失点してもまあ試合を作ってくれば良いかなと思っていましたから」と驚きを見せていた。
この快投を機に2021年度のドラフト候補として覚えられる存在となった達。小学校のときから身長は高く、小学校6年生で178センチ。泉州堺阪ボーイズでは投手と一塁手を兼任。球速は130キロほどで、まずまずの能力を持っていたが、超中学級の能力を持っているわけではなかった。
そんな達が天理に進むきっかけは中学2年生の時、天理が甲子園ベスト4に進んだ試合を見たことにある。
「なぜかわからないですけど、天理の魅力を感じてしまったんです」
それから天理に誘いがあった達は迷わず進学を決める。入学してからは中学時代に取り組まなかったウエイトトレーニングなど集中的に取り組み、みるみる球速を伸ばしていく。ただ立場としては3番手。右腕の庭野 夢叶、左腕・吉岡大誓の2人が中心で、登板機会は全くなかった。そんな達にチャンスが巡ってきたのは近畿大会決勝戦だ。
中村監督は「前日に伝えて緊張しまくっても仕方ないので、先発を言い渡したのは当日で、メンバーを交換する前ぐらいだったかなと思います。ちょうど達と捕手がいたので、2人を呼んで、先発だからと伝えたんです。あと打たれると思っていたので、『心配するな。大阪桐蔭だから』と思っていましたね」
達も当然抑えられる相手だと思っていなかった。ところが、「この日はフォークが非常に良かった」とフォークを軸に次々と大阪桐蔭の強打者を打ち取っていく。結果的に8回まで投げて4失点。試合を作るどころか、勝利投手になったのだ。
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達孝太(天理)
高校1年秋ながらストレートの最速は141キロ。そしてフォークをうまく操る193センチ右腕。これだけでもインパクトはあるが、大阪桐蔭相手に好投したとなれば、注目度は一気に上がる。明治神宮大会ではスカウト、全国の高校野球ファンが注目された。
達の登板は準決勝の中京大中京戦。その内容は「全くダメでした」と、伸びのある速球を投げていた大阪桐蔭戦と違って、この試合では130キロ前半止まりだった。それでも変化球を駆使しながら、7回まで5失点と力投を見せたものの、8回につかまり、途中降板。この2試合を振り返って達は「スタミナ」を課題に挙げた。
「近畿大会、神宮大会と8回を投げきれないところが課題となりました。もう一度、冬場はウエイトトレーニングや走り込みなどいろんなトレーニングをしてきました」
そして高校3年までに150キロを投げたい思いもトレーニングを行うモチベーションとなった。
近畿大会決勝までほとんどなかった公式戦登板。そこで好投したことにより注目を浴びたが、まだ投手としての能力は足らないと思っている。
中村監督は昨秋までの達を見て、必要以上に騒がれていることを危惧していた。
「実力以上に話題が先行しているところがあるので、気を付けないと感じています。まだ実力的には実質3番手投手でしたから」
達をしっかりと成長させるために、大事に扱うわけではなく、中村監督は一選手として平等に扱い、取り組みの姿勢、対外試合の結果次第でベンチ入りの有無を決めるという。
「私は達だから、エースだから、4番だからと特別扱いすることはありません。ダメでしたらベンチを外しますし、そこはしっかりとシビアに見ます。達もその方針を理解していてしっかりと取り組んでいるのが分かります」
プロのスカウトから注目を浴び始めている達は、将来的に高い舞台でやりたい思いはある。ただはっきりと進路を公言できるほどの実力ある投手ではないこともわかっている。
選抜は中止となったが、まだ春、夏の公式戦もある。好きな投手として「ダルビッシュ有」を挙げた達。ただ好きな投手ではなく、それを目指せるようなポテンシャルは十分に持っている。
確固たるメンタル、技術を身に付け。、世代を代表する右腕へ成長を遂げる。
(記事=河嶋 宗一)
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