Interview

古豪復活の鍵を握る強打の遊撃手・常軒海里(小倉工) その魅力は“高校通算24本塁打”だけじゃない

2020.03.10

 近年、古語復活の気配を見せる小倉工。高校通算40本塁打の主砲・久木田和志と共に、今年のチームを引っ張っているのが、主将の常軒海里だ。

 俊足と堅守に加えて高校通算24本塁打の長打力も兼ね備える常軒は、3番・遊撃手を任されるまさにチームの核となる選手だ。
 主将として、打線の軸として、53年ぶりの聖地を目指す常軒に、これまでの歩みと夏への意気込みを伺った。

兄と同じ小倉工に進学し、1年から出場機会を掴む

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常軒海里(小倉工)

 「常軒は意外性のある選手です。不調の時でも技術的な指導をするのではなく、『思い切り打て』と言ったら自然に欠点が治ったり、ここで1本欲しいときに『ホームランを狙え』と言ったら本当にホームランを打ったり、勝負強さも持っていますね」

 牧島健監督の語る、常軒のエピソードは実にユニークだ。
 高校通算24本塁打の打撃力だけでなく、ショートの守備も軽快にこなす常軒。また主将としてリーダーも発揮し、まさにチームの核となる選手であるが、その一番魅力は「意外性」にあると牧島監督は口にする。

 小学校3年の時に兄の影響で野球を始めた常軒は、少年野球チームの清水スカイヤーズでは主にショートとして活躍し、中学時代は広島東洋カープの安部友裕などプロ野球選手5名を輩出した実績を持つ小倉ボーイズでプレーする。

 ここでも常軒はショートを任され、打順も3年生に上がる頃には3番に座るようになる。
 攻守にわたって活躍する姿が牧島監督の目に止まり、小倉工に進学することとなった。

 「実は兄も小倉工でプレーしていて、試合も何度か見に行ったことがありました。試合を見て、とにかく先輩方のプレーが上手かった印象しか残ってないですね」

 小倉工進学後も、1年時から試合出場の機会を掴み、3年生が抜けた後の新チームではレギュラーに定着。最初の1年間で9本の本塁打を放ち、下級生ながら好守でチームを支えた。

 「最初はなかなか練習についていけなかったのですが、何とか頑張ってやっていくことができました。
 打席では、引っ張る意識を持つとゴロになってしまうので、逆方向を意識して打球を飛ばすイメージでいつも立っています」

[page_break:主将として創部100周年の節目の年に甲子園へ]

主将として創部100周年の節目の年に甲子園へ

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常軒海里(小倉工)

 打撃ではコンスタントに結果を出してきた常軒だが、その一方で守備にはずっと課題意識を持って取り組んで来た。
 中でも「足の運び」と「スローイング」については、特に時間を割いて取り組んで来たと語り、この冬でさらなるレベルアップをしていくつもりだ。

 「スローイングでは、リリースの際に小指が上に向くように投げれば良いと指導していただき、少しずつ良いボールが行くようになりました。
 また足の運びについては、捕球する時に先に上体が前に行ってしまうクセがありました。まずは捕ってから投げる動作に入ることを意識しています」

 そして常軒には、個人で結果を出すだけで無く、主将としてチームを引っ張っていくことも求められている。

 秋季大会は4回戦で敗退し、チームの現状を「まだみんなが力を発揮できてない」と語る常軒。チームの士気を高めて、試合で実力を発揮するためにも2年生(新3年生)がこれまで以上に結束して下級生を引っ張っていきたいと強く語る。

 「今は副キャプテンがいなくて、僕が一人でキャプテンをやっています。2年生がもう少しやって見せないと後輩もついてこないと思うので、2年生全員でチームを盛り上げていきたいと思います」

 小倉工は今年、創部100周年の節目の年を迎え、甲子園出場への思いはこれまで以上に強い。常軒は最後に、夏に向けて大きな目標を口にした。

 「全試合で2安打以上打って、本塁打は夏までに50本、そして守備でも全試合ノーエラー、それが個人の目標です。自分がしっかりと引っ張っていければ、甲子園も近づくと思うので、チームのために頑張りたいと思います」

 昨年は春ベスト4、夏はベスト8と福岡県内で着実に実績を積み重ねる小倉工。古豪復活の鍵は、常軒が握っていると言っていいだろう。

(記事=栗崎 祐太朗

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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