Interview

ノーステップ打法で打撃開花。世代トップクラスのショート・中山礼都(中京大中京)は選抜の活躍で夢叶える

2020.03.10

 今年の中京大中京の中で、ドラフト候補として注目される大型遊撃手・中山礼都(らいと)。高校通算15本塁打の長打力と抜群の強肩が光る遊撃守備を持ち合わせ、その力量は全国トップクラスと評される。

 昨秋の公式戦では33打点を残した勝負強さが注目される。そんな中山の歩みと決意に迫った。

打撃を開花させたノーステップ打法

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中山礼都(中京大中京)

 179センチ80キロ。太ももの太さ、筋肉質の体型を見るとサイズ以上に大きく見える。グラウンドに立てば、ひときわ際立つ。

 高いレベルでプレーするにはどうすればいいか。まず体力をつけないといけないと実感したのは東海ボーイズの先輩・山田健太大阪桐蔭-立教大)からだ。

「まず体が強くないと、大きくないと、高いステージでやっていけないといわれて中学から体づくりを意識していきました」

 中京大中京では、1年の招待試合からベンチ入り。最初はセカンドとして出場し、そして1年秋からサードへ転向し、レギュラーとして出場した。

 転機となったのは2年春。打法をノーステップしたことだ。

「軸のブレを防ぐためにいろいろ試している際中で、ノーステップにしたところ、一番しっかりとハマったので、ノーステップで打つことを決めました」

 

 この打法をモノにするために幾度もなく素振りを繰り返した。2年春からショートのレギュラーを獲得し、迎えた夏では自慢の打撃で大爆発する。15打数10安打、2打数9打点と毎試合のごとく打ちまくった。

 夏の大会の活躍を見て素晴らしかったのは下半身の柔軟性の高さ。ノーステップにする選手にありがちな欠点だが、下半身の割れがなく、低めのボールを対応できず、打てるポイントの狭い打撃となってしまう。ただ、この夏の中山はどのコースにも対応し、強く引っ張りライト方向へ伸びる打球だけではなく、左中間へ伸びる打球も目立った。

「本当に夏は無駄な動きがなかったですね。そのためボールが見やすくなって、下半身がきれいに回っているイメージがありました。僕もノーステップで打つときは、手打ちにならないことを意識して、下半身を連動させていることをテーマに素振りや打撃練習に取り組んでいました」

 夏の大会のパフォーマンスが知れ渡り、新チームがスタートしたときからドラフト候補として注目され始めた。

[page_break:神宮大会不振も成長のきっかけにしたい]

神宮大会不振も成長のきっかけにしたい

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ガッツポーズをする中山礼都(中京大中京)

 そして秋でも高い技術を発揮し、公式戦で33打点を挙げる。しかし内容には満足していない。特に決勝戦まで安打が出なかった明治神宮大会では、悔しい思いをした。

「自分では手打ちにならないように意識していたはずなのですが…。知らずのうち技術的に狂いが出ていたと思います」

 だが、決勝戦では中山らしい活躍を見せた。準決勝を終えて、

「技術面を全く変えていません。あのときは打たないと、打たないといけない気持ちがかなり出てしまったため、まずは自分のスイングをして臨もうと思いました」

 1打席目は良い当たりの左飛。この打球で中山は復調の手応えを感じていた。

「良い打球でした。逆方向に打球が伸びるのは、僕の調子が良い証拠なので、いける手ごたえがありました」

 そして第2打席は右中間を破る適時三塁打で勝ち越しに成功。三塁ベースに辿り着いた瞬間、中山は満面の笑みでガッツポーズを見せた。

 第3打席はヘッドを残したまま、低めの変化球についていき、中前安打。マルチヒットを記録し、ドラフト候補の片鱗を見せた。

 2安打しか打てなかったが、高橋源一郎監督は「逆に良かったと思います。変に打てて勝よりも逆に悔しさを感じながら終えたほうが冬の練習につながると思いました」と残念がることはなく、中山も「良い期間だったと思います」と前向きにとらえている。

 この冬はもう一度、攻守の技術の見直してきた。そして年末の進路相談では高卒プロを希望に挙げた。

「小さい時からプロ野球の世界に入って、野球をするのが、夢でした。全国大会で結果を残して夢をかなえたいと思っています」
そして、選抜へ向けてこう意気込んだ。

「昨秋は自分たちで結果を残して、よい形できていると思います。ほかの高校は自分を倒そうと思っているので、受け身にならず、積極的にいって、チームが勝つことを一番に考えて、プレーしていきたいと思います」

 この選抜で世代トップクラスのショートストップを印象付ける活躍を見せる。

(記事=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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