目次

[1]小学6年で遠投86メートル、1大会4盗塁阻止、アウト3回盗塁阻止と数々の強肩逸話あり
[2]小林誠司型スローイングで盗塁阻止率、スローイングタイムがアップ!


 プロ野球では、「甲斐キャノン」など超強肩捕手にキャッチフレーズがつくが、将来的にそのキャッチフレーズがついてもおかしくない高校生捕手がいる。それが健大高崎戸丸 秦吾だ。高崎ボーイズから強肩捕手として注目された戸丸のスローイングタイムは脅威の1.7秒~1.9秒台。日本一の強肩捕手といっていい存在だ。そんな戸丸の強肩エピソードや、規格外のスローイングを築き上げるまでに至った過程に迫る。

小学6年で遠投86メートル、1大会4盗塁阻止、アウト3回盗塁阻止と数々の強肩逸話あり


 小学校の時から肩の強さは際立っていた。幼稚園年長から野球をはじめ、小学校時代は投手、捕手を兼任していた戸丸。自分が人よりも肩が強いと実感したのは、小学校6年生の時である。藤岡市の選抜チームを決めるときに市内の小学生が集まり、いろいろな測定を行った。そして遠投でなんと86メートルを記録した。大人も、同級生たちも驚きの表情を見せていた。

 「あの遠投をやるまでは自分の肩の強さは普通だと思っていました。ただ他の選手が50メートルから60メートルぐらいなので、明らかに違いました。みんな驚いていましたけど、僕自身も驚きました」

 そんな戸丸は高崎ボーイズに進んでも、強肩ぶりを発揮する。1年夏から正捕手となり、2年生に全国大会に出場。そこで4回盗塁を仕掛けられたが、すべてアウトにする甲斐 拓也ばりの盗塁阻止を見せたのだ。ボーイズからのチームメイトでエース・下 慎之介
 「自分はあの時、試合に出ていたかは忘れましたが、戸丸の盗塁阻止は覚えています。本当にえぐかったです」

 また下はさらに戸丸の強肩エピソードを教えてくれた。
 「中学時代、1年生だけで練習試合をしたことがあって、自分がマウンドにいたんです。先頭打者を出して戸丸が刺して、次の打者も出して、戸丸が刺して、そして次の打者も死球を与えて、それも戸丸が刺してアウトは戸丸が全部とりました!」

 本来ならば満塁のピンチ、もしくは点を失っていたかもしれない状況を戸丸1人で三者凡退にしたのだ。もちろん下は戸丸に絶大な信頼を置いている。
 「やはり刺してくれるので、投手としては投げやすいですね」

 そして戸丸はNOMOジャパンを経験するが、代表メンバーで、そして健大高崎でチームメイトとなった長身右腕・橋本 拳汰は「こんな強肩な捕手がいるんだ...と驚いた記憶があります。今では頼もしいです」と次々と驚かせる戸丸は、地元の健大高崎に進学を決める。その進学理由が独特の発想だった。

 「もともと機動破壊と呼ばれる健大高崎をつぶしたいというのが自分の目標だったんです。ただ他校に進学して、健大高崎さんと戦うよりは健大高崎に入学して、走塁練習で、足が速く、走塁意識の高い選手とたくさん対戦できるのかなと思いました。

 健大高崎に入って自分の肩の強さをどこまで追求できるのかと目標に置いて、健大高崎を選びました」

 健大高崎と戦う機会は年に数回ぐらい。だが、日々、走塁を深く追求する健大高崎のもとでやれば、捕手としてプラスになるかもしれない...。その戸丸の発想は正しいものとなる。