Interview

146キロ右腕・小辻鷹仁(瀬田工)はOB・西崎幸広以来の逸材…。なぜ高卒プロを目指せる投手になったのか? 【後編】

2020.03.04

 スリークォーターから最速146キロの速球を投げる本格派投手としてプロのスカウトからも注目を浴びている瀬田工小辻鷹仁(2年)。昨年末の滋賀選抜オーストラリア遠征では7回無失点の好投を見せた。

 入学時の球速は122キロと決して際立った存在ではなかったが、2年間で右肩上がりの成長を続けてきた。彼はいかにしてプロ注目の投手になったのだろうか。後編では滋賀選抜後の課題への取り組み方、今後の目標に迫りました。

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プロを目指していなかった高校入学時からプロ注目と言われるまでに急成長・小辻鷹仁(瀬田工)【前編】

夏までに150㎞を出して将来はプロ一本

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小辻鷹仁(瀬田工)

 滋賀のトップ選手と接する時間は小辻にとってもチームにとっても有意義なものだった。オーストラリア遠征で得た知識や経験をもとに帰国後の練習で取り組んできたのは股関節の柔軟性だ。

「自分は股関節が固いので、股関節の柔軟を意識してトレーニングをしてきました。滋賀選抜でもトレーナーの方から色々教わったので、それを意識してやっていました。やっているのは股割りなどですね。他にお尻の部分も固いと言われて、『そこを柔らかくしたら股関節に体重が乗るよ』と言われたので、お尻の筋肉を伸ばすようにやっています」

 自ら課題を見つけ、それを克服するために努力する姿はチームメイトからも一目置かれている。「非常に意識が高いので、僕たちに刺激を与えてくれていて、練習の質が上がっています」と主将の三原滉平(2年)は小辻の練習に対する姿勢がチームの底上げに繋がっていると話す。

 小辻に刺激を受けるかのように他の投手の成長も著しく、球速が130キロを超える投手が4人も出てきている。「僕にとってもいい刺激になって、もっと頑張らないとアカンと思います」と小辻も彼らから得るものは多いようだ。

 第二種電気工事士と情報技術検定3級の資格を取得し、昨年まで就職を考えていた小辻だが、今は目標をプロ一本に絞っている。関西の強豪大学からの誘いが複数来ていたが、現時点では全て断っているそうだ。小辻のプロ入りへの想いは強く、目指しているのは上位指名でのプロ入りだ。

「夏までに150キロとキレのいいボールを投げられるようになって、ドラフト上位でプロに行きたいと思っています。3位までには行きたいですね」

[page_break:投打で活躍し、チーム一丸となって甲子園に行く]

投打で活躍し、チーム一丸となって甲子園に行く

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小辻鷹仁(瀬田工)

 プロにアピールする材料はやはりストレートだろう。無駄のないフォームから投じる速球には上の舞台でも十分に通用するはずだ。ただ速いだけでなく、スリークォーターから角度をつけて投げられるのも一つの武器になる。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップを操り、新たにシンカーを練習中だが、変化球に頼らずに直球勝負をするのが信条だ。

「変化球で逃げるのではなくて、ストレートでガンガン押していくのが今のスタイルだと思います。参考にしているのは岸孝之投手(東北楽天)です。力感のないフォームを参考にしています」

 小辻のキャッチボールや投球練習を見た時に、力のあるボールをスイスイ投げているのが印象的だったが、岸のフォームを参考にしていると聞けば納得だ。

 小辻は打撃でもチームの中心選手となっている。入学当初、小椋和也監督は投手よりも野手として期待していたそうだ。2年秋からは4番を打ち、高校通算本塁打は11本も放っている。

「監督からも『ホームランを狙って行け』と言われているので、当てに行くことはないように思い切って振っています」と打席では長打を狙って豪快なスイングを見せている。これまで公式戦で本塁打を打ったことはなく、公式戦初アーチがいつ見られるかというのも注目ポイントだ。

 冬が明けて、いよいよ勝負のシーズンが始まる。「チームが勝てるようにバックを信頼して投げていきたいと思います」とチーム一丸となって勝利に突き進む構えだ。チームが勝ち進めば、注目度が上がり、自信のプロ入りも自ずと近づいてくる。まだ出場したことのない甲子園について次のように想いを語ってくれた。

「みんな甲子園に行こうと言っているので、夏に勝って絶対に甲子園に行きたいと思っています。チームに貢献できるように良いピッチングをして、バッティングの方でも4番として活躍できるように頑張ります」

 1年前まで無名だった選手が滋賀県を代表する投手となり、プロ入りも狙える投手に成長を遂げた。高校3年目は周囲から脚光を浴びる姿が容易に想像できる。今年は彼の投球に要注目だ。

(取材=馬場 遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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