Interview

捕手兼投手として、創部4年目のチームを近畿大会に導いた大黒柱・景山透唯(立命館守山)【前編】

2020.03.03

 4番捕手兼リリーフ投手として創部4年目の立命館守山を近畿大会初出場に導いた景山透唯(2年)。昨年末には滋賀選抜に選出され、中軸打者として活躍した。身長171㎝と上背はないが、ガッチリとした体格から安打を量産し、投手としても肩の強さを活かした力強いストレートで相手打者を抑え込む。

 「チームとして一番の主軸ですし、本当に頼りになります」と西田賢生主将(2年)が話すようにチームメイトからの信頼は厚い。今回は滋賀を代表する二刀流プレーヤーとなった景山のこれまでの野球人生や今後の抱負について伺った。

立命館守山に進学、チームに欠かせない存在に

捕手兼投手として、創部4年目のチームを近畿大会に導いた大黒柱・景山透唯(立命館守山)【前編】 | 高校野球ドットコム
景山透唯( 立命館守山)

 滋賀県栗東市出身の景山は父・太さんと3歳年上の兄・晴斗さんの影響で小学生になる前から野球に親しんでいた。最初は県内の硬式クラブチームに所属していたが、小学4年生の冬に大阪柴島ボーイズに移籍している。大阪柴島ボーイズは2012年の日本少年野球選手権大会で優勝しており、「強いチームでやりたい」という理由からだった。

 景山は中学まで大阪柴島ボーイズでプレーを続けた。チームとしては目立つような実績を挙げられなかったが、3年生時は4番捕手として活躍。中学3年間での打率は.517と驚異的な数字を残している。

 高校進学の際には地方の強豪校からの誘いもあったが、「新しくて面白いチームだと思って決めました」と創部してまだ2年しか経っていない立命館守山への進学を決断。内部進学で立命館大に進めることも決めての一つとなった。

 景山が入学してきた年の3年生は1年生の時から試合経験を積んできた1期生。経験値で勝る先輩が多くいる中で、「3年生を勝たせてあげないとダメだと思っていたので、毎日、家で素振りと羽打ちを欠かさずやっていました」と努力を重ねて1年夏からベンチ入りを勝ち取ると、主に代打要因として活躍した。

 1年秋からは中軸を打つ正捕手としてチームに欠かせない選手となっていく。さらに昨夏に新チームが指導してからはチーム事情で投手を任されるようになる。投手の頭数が少ない中で「一番肩が強くて、四球を出さないし、変化球も投げられたので」(秋武祥仁監督)という理由でリリーフ投手に抜擢されたのだ。

 投手は小学生の時に少しやったことがある程度。本格的な経験はないに等しかったが、「責任感がキャッチャーと同じくあって、自分が投げることでバッターを抑えるという楽しさはありました」と挑戦する中で投手としての楽しさを覚えた。

 だが、捕手でスタメン出場して、試合途中からマウンドに立つのは体力的に負担が大きい。「キャッチャーは足腰を使うので、疲労がある中でピッチングするのは大変でした」とその苦労を語る。

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ほろ苦い思い出となった近畿大会

捕手兼投手として、創部4年目のチームを近畿大会に導いた大黒柱・景山透唯(立命館守山)【前編】 | 高校野球ドットコム
景山透唯( 立命館守山)

 身体的負担は大きかったが、大黒柱として奮闘。秋の滋賀大会では初戦の光泉戦で先制タイムリーを打って勢いをつけると、チームはそのまま快進撃を続けて初の決勝進出と近畿大会出場を果たした。躍進を遂げた秋の滋賀大会をこう振り返る。

 「周りのみんなが支えてくれたのが大きかったです。最初はあまり自信がなかったんですけど、チームメイトが活気づけてくれました。このチームで勝つという意識が強くて、みんなの想いが強かったから勝てたと思います。でも滋賀に一番にならないといけないと思っていたので、悔しかったです」

 決勝では2年連続で夏の甲子園に出場している近江と対戦。先発の信次陽和(1年)が初回に4点を奪われると、4回途中に登板した景山も流れを変えられず、0対9の完敗を喫した。県内を代表する強豪校と対峙して、自分たちとの実力差を痛感させられた。

 「一人ひとりの動きのキレが違っていて、ワンプレーの精度や確実性が圧倒的に相手の方が上でした。体の質やプレーが違いましたね」

 さらに続く近畿大会では初戦で大阪桐蔭との対戦が決まった。「日本のトップレベルの野球を実際に自分たちが試合して体感できるので、凄く楽しみにしていました」と名門との対決に胸を躍らせていたが、その試合で洗礼を浴びることになる。

 大阪桐蔭の強力打線が序盤から先発の信次に襲い掛かり、6点リードを奪われた2回途中で早くも景山がマウンドに上がる。だが、一度火のついた大阪桐蔭打線を抑えるのは容易ではなかった。

 投げる球がことごとく打ち返され、2回と3分の2を投げて自責点12の大炎上。打撃面でも2打数無安打と存在感を発揮することができなかった。チームは1対19の5回コールド負け。ただただ力の差を見せつけられる結果となった。

 どこに投げても打ってくるバッティングであったり、なかなか内野の間を抜けない守備の堅さであったり、一つひとつが違うなと感じました。野球のセオリーが通用しなくて、『どうしたらいいんやろう』というのはありました」

 初めての近畿大会はほろ苦い思い出となったが、下を向いている暇はない。「スイングのキレや、ボールを追う姿勢というのはまだまだ成長できると思います。自分たちは笑顔を大事にしているので、そこをみんなで共有してプレーに活かせたらと思います」とチームの課題に目を向けながら鍛錬に励んでいる。

 前編はここまで。後編では滋賀県選抜でのお話と、春に向けての意気込みを伺っていきます。後編もお楽しみに!

(取材=馬場 遼

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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