Interview

先輩・奥村展征(ヤクルト)に続け!草津リトルシニア・伊藤愛都が高校野球に向けた思い【後編】

2020.02.23

 昨夏のリポビタンカップ第47回リトルシニア日本選手権大会で準優勝を果たした草津リトルシニア。チームの躍進に大きく貢献したのが主将で1番捕手の伊藤愛都だ。広角に強い打球を打ち分ける打撃技術と二塁送球1.9秒台の強肩を持つ中学球界屈指の名捕手である。春から高校生活をスタートさせる有望株に3年間での成長と今後の意気込みについて伺った。

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二塁送球1.9秒台! 草津リトルシニアで過ごした3年間 伊藤愛都【前編】

伊藤の実力

先輩・奥村展征(ヤクルト)に続け!草津リトルシニア・伊藤愛都が高校野球に向けた思い【後編】 | 高校野球ドットコム
ミットを構える伊藤愛都(草津リトルシニア)

 この大会で伊藤は攻守に躍動して、存在感を発揮した。打撃面では「広角に強い当たりを打てるのが持ち味だと思います」と本人が語るように逆方向にも強烈な打球を放てる点を強みとしている。その秘訣は練習から強く振ることだと話す。

「ティーから強く振ることを意識して、逆方向にも引っ張る意識で練習しています」

 映像で日本選手権での打撃映像を見たことがあるが、伊藤の左方向への打球は『流す』というよりも『逆方向に引っ張る』という言葉が適切だった。その意識で練習しているからこそ、試合でも広角に強い打球が打てるのだ。

 伊藤の打撃練習を見ていると、スイングの鋭さやヘッドスピードはずば抜けているように感じさせられる。フリー打撃では常にフルスイング。カメラを意識して、やや力みが見られる場面も見られたが、中学生でこれだけ振れるのは魅力的だ。打撃の精度を上げて、完成度の高い好投手にも対応できるようになれば、超高校級の打者になれる可能性を秘めている。

 守備面で光るのが肩の強さだ。捕手からの二塁送球は2秒を切れば高校生でも強肩と言われるが、伊藤はすでにその標準を突破している。伊藤の話と練習を見ていて、強肩の理由を二つ見つけることができた。まず一つ目は過去に故障を克服したことだ。

「小学校の時に肘を怪我して、その時にリハビリで投げ方を矯正してもらいました。それで怪我しない投げ方を覚えたんですけど、そこから肩が徐々に強くなっていきました。そこからは楽に強い球を投げられるようになりました」

 肘を痛めたことをきっかけに正しい投げ方を身に付けることができた。それ以来、肘の負担が少なく、強いボールを投げられるようになったという。

 もう一つは過去に内野手をやっていたことだ。伊藤によると、草津リトルシニアで捕手を本格的に始めたのは最上級生になってからで、最初は内野手だったという。取材日にも遊撃手でノックを受ける場面が見られていたが、本職が捕手にしては軽快な動きを見せていた。単純な肩の強さに頼るのではなく、俊敏性と正しい投げ方を兼ね備えているからこそ、中学生離れしたスローイングを披露することができていている。

[page_break:奥村展征(ヤクルト)の背中を追って]

奥村展征(ヤクルト)の背中を追って

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伊藤愛都(草津リトルシニア)

 4月からは高校野球の世界に足を踏み入れる。「体つきもスイングスピードも全てにおいてまだまだだと思います」と過去の実績に驕ることなく着々と高校に向けて準備を進めている。現在は体作りを中心にスイングスピードとブロッキングの向上を目指して練習に取り組んでいる。

「簡単にレギュラーは取れないと思いますし、しっかり覚悟を持って、やるべきことをしっかりして、入った当初からレギュラーを取って頑張りたいと思います」と意気込む伊藤。1年夏からメンバー入りして甲子園出場を果たすつもりだ。

 その先に見据えるのはプロの世界。憧れの選手は草津リトルシニア出身で初のプロ野球選手となった奥村展征(ヤクルト)だ。年末には会う機会もあったそうで、「キャッチボールをしても全然違ったので、『これがプロか』と思いました」とレベルの高さを実感した。

 憧れの先輩を追いかけて春から新たなステージに挑む伊藤の活躍に注目だ。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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