Interview

145キロ右腕・牟田には負けない!個性あふれる香椎の2年生投手陣に注目!

2020.02.19

 福岡・香椎の注目投手といえば、145キロ右腕の牟田稔啓の名前がまず出てしまうが、実は今年の香椎には6人の2年生投手がいる。それぞれタイプの違う投手がお互いライバルとして競い合っている。135キロ近くのストレートを投げる吉野巧基山下雄太郎、左の宮本悠仁、右サイドの大石翔太、そして130キロを超えるストレートを投げる松尾厚輝とバラエティにとんでいる。

 杉野弘英監督は、「2年生のピッチャー6人とも試合で使えるピッチャーです」と語るように、どの投手も試合を作ることができる能力の高い投手が揃っている。

投手を複数枚揃えることについて杉野監督は、

「私は公立高校が勝ち上がるためにはやっぱり投手力ということですね。良いピッチャーが一枚いたとしてもなかなか勝ち上がるのは難しいので、複数枚必要ですね」

とその必要性を話してくれた。今回はこの6名の2年生投手に注目したい。

牟田には負けない!吉野・山下のポテンシャル!

145キロ右腕・牟田には負けない!個性あふれる香椎の2年生投手陣に注目! | 高校野球ドットコム
左から山下雄太郎 吉野巧基(香椎)

 秋にメインでマウンドを守っていたのは、吉野巧基山下雄太郎だ。香椎投手陣を語る上でこの2人は避けて通れない。

 バランスの良い投球フォームから切れの良いボールを投げ込むのが吉野である。吉野の良さは練習に対してストイックな点に尽きる。

「練習でも、もう一回り、もう二回りという気持ちをすごく心がけて、今までは普通にやっていたところを、もっと人よりもたくさん!死ぬ気でやる!という感じで1日1日を過ごしています」

 ここまでストイックに取り組めるには訳がある。1つはチームの目標でもある「ナンバーワンになる」がある。野球でいえば全国制覇であり、また日常の生活では香椎生として見本を見せられるような行いということになる。

 そして、もう1つの理由は吉野の考える今後の野球人生である。吉野は高校を卒業した後も更に上のレベルでのプレーを望んでいる。長期の目標を見据えているからこそ、日々の練習をストイックに過ごせるのである。吉野巧基、覚えておいて損はない名前である。

 そして、吉野と同じく秋にチームを引っ張ってきたのが山下雄太郎だ。2年の夏からベンチ入りし、夏のマウンドを経験している投手である。130キロ中盤のストレートに多彩な変化球を操る。山下はこの冬、速球のスピードアップを課題にしている。それは、変化球を活かす上でストレートの重要さを十分理解しているからである。これも昨夏を経験しているからこそ気付ける山下の財産だ。

 香椎は練習の最後に30分間自分の課題と向き合い、自身で考える練習をする時間が設けられている。現在、山下はその時間でスピードアップだけでなく、得意のツーシームの精度を上げる練習にも取り組んでいる。

「長いイニングを投げたら 2本の指(親指と人差指)で投げて、途中で疲れてくるから、常にダンベルを3本指(親指、人差し指、中指)で持つトレーニングをしています」

 昨夏の経験で何が必要なのか十分に体感した山下が、冬場に足りなかった分を埋めている。夏の山下の快投を十分に期待させる。

 この冬、山下は体を大きくしようと考えている。

「甲子園に行く選手は体がデカイのでまず体を強くする、ご飯を食べることを意識しています。昼はご飯だけで3合は食べて、夜はもっと多く食べています」

 言葉の端々に「[stadium]甲子園[/stadium]」というワードが出てくるように、[stadium]甲子園[/stadium]基準の体作りを目指している。

「チームとしてはナンバーワンになること。甲子園に出て優勝するのがチームの目標です。個人の目標は、夏では自分がエースを取ってチームを甲子園の優勝に導けるようなピッチングができるようにします」

山下もまたエースの座を虎視眈々と狙っている一人である。

[page_break:個性あふれる3投手!大石、松尾、宮本!]

個性あふれる3投手!大石、松尾、宮本!

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左から宮本悠仁 松尾厚輝 大石翔太(香椎)

 香椎には、牟田、吉野、山下だけでないまだまだ魅力的な投手陣がいる。

 一人目が大石翔太である。

「自分はサイドスロー変則を生かしているピッチングが特徴です。得意な球種はスライダーです」

と語るように、自分の武器を理解して投げることのできる貴重な投手だ。

 また、切れの良いストレートを投げる松尾厚輝にも注目だ。松尾はボールにきれいなスピンをかけるため、風呂場でユニークな練習をしている。

「2個上の榊原(さかきばら・直人)さんから スピンをかけるために、色々な本をもらって、風呂場(浴槽内)で軟式ボールにスピンをかけて、まっすぐかけたら、いい感じに(水中でボール)が上がって、シュート回転だと左にまがって(ボールが上がってくる)、それをお風呂場でやっています」

とお風呂での面白い練習法を教えてくれた。

 そして最後に紹介するのがバッテリーリーダーを務める左腕の宮本悠仁だ。この冬は体を一回り大きくするために、ウェイトを中心に線を太くすることに努めている。

 宮本は、バッテリーリーダーというだけあり、投手陣という大きな括りで全体を俯瞰してみる力も持っている。

「今年もいい投手がたくさん揃っているのでその投手をまとめてどんどん 勝ち上がっていくのが目標です。みんな途中からでも投げれるので全員どこでも行ける準備ができたので今年は強いと思います」

と力強く話してくれた。

 宮本が話すように、今年の香椎は6枚の2年生投手がいる、試合を組み立てられる吉野、山下、そして145キロの速球が魅力の牟田、さらにバラエティに富んだ、大石、松尾、宮本。1年生にもポテンシャルの高い投手が控える。

 145キロ右腕の牟田でさえ「味方でありライバルであるのでチームの中での競争というのがまずあります」とチーム内で競争について言及している。

 夏に向けてのチーム内の熾烈な競争を通して、投手陣がさらに成長すれば、香椎の[stadium]甲子園[/stadium]出場が見えてくる。2年生の6人の投手陣に注目したい!

(記事=田中 実

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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