Interview

「甲子園に行く」という強い信念が成功をもたらした 八方悠介(鹿児島城西)【後編】

2020.02.08

 「プロに行く!」という高い志を掲げて、佐賀からはるばる鹿児島までやってきた八方悠介。プロ出身・佐々木誠監督が就任した年に入学した「1期生」に当たる。最上級生に上がる今年春に、鹿児島城西はセンバツ出場を決め、創部以来初の甲子園出場を果たす。同じ2年生右腕の前野将輝との2本柱は甲子園出場の原動力となった。

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悔しい敗戦があったからこその甲子園

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力投する八方悠介

 8月の南薩地区大会では宿命のライバル・神村学園に大敗した。前野が先発し、センターを守っていたが「甘いボールはどんどん打たれる。こちらの打線はフライアウトばかりでつながりがない」。力の差をまざまざと見せつけられた。秋の県大会のシード権を逃した上に、組み合わせでは初戦で強豪・れいめいと当たり、3回戦でシード神村学園と再戦する最激戦区を引いた。

 「秋の県大会が始まるまで、自分たちのチームはバラバラでした。神村学園と対戦して、自分たちはまだ個の力では及ばない。まとまって戦おうとみんなで話し合いました」

 副主将のリーダーシップを発揮。厳しい激戦区だからこそ、危機感が高まり、チームの気持ちが一つになることができた。

 

 神村学園とのリベンジマッチに先発。「小中学校の頃から甲子園に出ている有名校。小田大介監督のことも尊敬していて、だからこそ絶対に勝ちたかった」と燃えた。

 「俺が絶対抑えるから、お前らが打って点を取ってくれ!」
 1点リードして迎えた5回の後のグラウンド整備で、円陣を組んでいるときにそんな言葉が出た。普段はめったにそんなことを口にすることはないが、そのぐらい気持ちが高ぶっていた。6回表、2点を失って逆転されたが、その裏、乗田元気(1年)が特大3ランを放って流れを引き戻すと、7、8、9回は追加点を与えず勝ち切ることができた。

 九州大会で4強入りできたのは「決勝の鹿児島実戦の敗戦があったから」だと考える。完封負けした試合の中から見えてきた課題を個々人が自覚し、具体的な改善点に取り組んだ。

 鹿児島城西では、日々の練習で取り組むべき課題を全員が書くホワイトボードがベンチに掲げてある。加えて大会前のドラフト会議で、先輩・小峯が育成で指名された嬉しいニュースが入った。「絶対に勝つ!」強い気持ちで臨んだ九州大会は佐賀学園城北(熊本)と完封、コールド勝ちし、チームの理想とする相手を圧倒する野球ができた。

 「ライバル」は他校だけではない。同じ鹿児島城西の中でもサッカー部、空手部などは全国大会の「常連」だ。

 「全校集会でサッカー部や空手部は全国大会出場で名前が呼ばれるのに、野球が呼ばれない」ことにずっと悔しさを感じていた。「野球部も自分たちの代で甲子園に出てやると強い気持ちを1人1人が持てたと思います。その意味では他の部からも良い刺激をもらいました」。

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信念の力

「甲子園に行く」という強い信念が成功をもたらした 八方悠介(鹿児島城西)【後編】 | 高校野球ドットコム
力投する八方悠介

 「全ては『人の心』が決めるのだ。
 『私はできる』
 そう考えている人が結局勝つのだ」

 座右の銘にしているのはナポレオン・ヒルの「成功の哲学」にある「信念の力」という詩だ。井上隆三部長が紹介してくれて練習場のトイレに張ってある。自分がこうなりたいと強い信念を持って行動することが望む結果を引き寄せる。納得できる力強い言葉が書かれた詩に共感し「神村学園戦の前も、みんなに『ぜひ読んで欲しい』と勧めました」。

 この冬に取り組んでいるのは、秋の九州大会で出た課題の克服だ。制球力、球速、あらゆる面でレベルアップするために下半身強化に重点的に取り組んでいる。「大きく変化するために、今までと変わったことに取り組む」と中長距離の走り込みはもちろん、アジリティー系のトレーニングも積極的に取り組んでいる。「ボールが落ちなくなって、変化球の切れも質も上がった」と手応えを感じている。

 センバツは初出場だが「優勝を狙う」志は常に秘める。一方で「見ている人、応援してくれる人に何か感動を与えられるような野球をする」と謙虚な気持ちも忘れない。対戦してみたい相手は「大阪桐蔭」だ。

(取材=政 純一郎

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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