2019年のドラフトで埼玉西武からドラフト8位指名を受けた岸 潤一郎(徳島インディゴソックス)。
岸は本ドラフト全体でも最下位となる74番目の指名となったが、それでも指名時の歓声、反響は大きなものがあった。明徳義塾時代は甲子園に4度出場したスター選手だったが、大学中退を経て徳島インディゴソックス入団から2年でのプロ入りに、感動したファンも多い。
独立リーガーはシビアに実力を判断され、指名はなかなか難しい現状でいかにして、NPB入りにこぎつけたのか。この2年間の意識改革と1年目の決意を語ったもらった。
数字以上に印象的な活躍を見せる岸潤一郎のスター性

握手を交わす岸潤一郎(徳島インディゴソックス-西武ライオンズ)
徳島1年目の成績は打率.275、3本塁打、18打点。そしてリーグ最多の38盗塁をマークし、走れる選手であることをアピールした岸。2年目の昨年はショートを守り、ユーティリティぶりをアピールすること。そして、2018年の長打率.403を上回ることをテーマにシーズンに入った。
「NPBにいくためには外野の間を抜ける打球を少しでも多く打つことが大事だと思いました。だからといって大振りせず、シンプルにしっかりと振ることを大事にしました」
結果として長打率.383と2018年より下回ったとはいえ、二塁打は2018年の7本を上回る13本、前期最多安打をマーク。さらに6月から約1か月間、開催された北米遠征では19試合で打率.321、1本塁打、6打点、4盗塁と通年で活躍を見せた。
また、岸は関係者の間で数字以上に高く評価されているが、それは重要な場面で印象的な活躍を見せる勝負強さがあるからだ。

独立時代の岸潤一郎(徳島インディゴソックス-西武ライオンズ)
その一例が、昨年10月5日、BCリーグ・王者である栃木ゴールデンとのグラウンドチャンピオンシップの第1戦だ。
6対6で迎えた10回表、先頭打者として打席に立った岸は二盗、三盗を決め、勝ち越しの犠牲フライを呼び込み、第1戦の勝利に貢献した。そのほかでも勝利に貢献するポイントが高いプレーが多いという。
岸はそういう時ほど燃えると話し、さらに観客が多い試合ほどテンションが上がってくる。
「高校時代は特に感じなかったのですが、独立リーグはお客さんはどうしても少ない。そんな中、多くのお客さんが来ていただけるのは本当にありがたいことなんですよね。だから自分はそういうときほど自然とテンションが上がると思います」
これこそスターの所以たるところだろう。大観衆が集まるNPBではそのスター性はさらに発揮することだろう。
岸の話を聞くと、自分はその目標をかなえるためには何でアピールするべきか、何が課題か。その説明が具体的だ。この考えも徳島インディゴソックスに入団して気づかされたことだ。
「徳島の2年間、野球人生で初めて心の底からNPBに行きたいと思った期間でした」