ドラ1を現実化するための課題

来田涼斗(明石商)
今も来田はタイミングの取り方、足の挙げ方を試行錯誤している。打てる確率を高めることを考えれば、ノーステップが一番だ。ただ狭間監督は今後のことを考えて、足を挙げることを容認した。ただし1つ注文をつけた。自分が取り組んだことを継続することだ。
「来田の課題は自分がこれだと思ったことを継続すること。すぐ自分の好きな方向へ流れてしまう癖がある。気持ちに波があるんですよね」
狭間監督がここまで来田に厳しく姿勢面を指摘するのは来田のポテンシャルの高さを評価してこそである。狭間監督は来田を初めて見たのは中学2年生の時。中学生離れのパフォーマンスに衝撃を受けた。
「体の強さもすごかったですし、何よりスイングスピードの速さは明徳中で見てきた生徒の中でも記憶にありません。足も速い選手でした」
来田は中学通算25本塁打を放つなど走攻守で高いパフォーマンスを示し、50校ほど多くの学校が勧誘に来る中、明石商に行くことを決めたのは、兄・渉悟さん(現日本体育大)の影響が大きい。
明石商では狭間監督の下、厳しく指導を受けてきた。現在、高校通算29本塁打。多いほうではあるが、来田のポテンシャルの高さからすれば、さらに打ってもおかしくない。伸び悩みの理由としてはタイミング面が挙がる。
来田は2020年へ向けて逆方向に本塁打を打てることを目指している。
「29本のうち、逆方向への本塁打は4本ぐらいでしたので、もう少し伸ばしていきたいです」

ティーバッティングでも深く掘って打つのが来田流だ
それはティーバッティングでも深いこだわりが見える。来田はティーバッティングでも、普段と同じ打席のように深く掘って打つ。その時スパイクは埋まっていて、下半分が見えない。
「このほうが安定して打ちやすいです」
その後、見事なフルスイングでボールを打ち返していたが、下半身の安定性が復調のカギとなるだろう。
2020年、主将として日本一を目指すためにチームを引っ張る来田だが、個人の目標はプロ。それぞれの課題を聞くと、プロを見据えたコメントばかりだ。
「まず打撃について確率の高い打撃をしていきたい。そして走塁については、今まではあまりこだわりはなかったのですが、これから深く追求していかなければプロでは厳しいと思っています。そして守備面も苦手なところがあるので、基礎的なところも磨いていきたいです」
そのため日々の行動も変わってきている。現在の体重は85キロ。ここから増やす予定はなく、スピードを求めた肉体へ切り替えている。柔軟性を増やすために風呂上りのストレッチは欠かさない。
「私生活でも気が抜けない生活になっています。自分の夢はプロ野球選手ではありますがただ行くだけでは意味がないので、覚悟をもって臨んでいきたいと思います」
近年、ドラフト1位になった野手は高校3年になってからのパフォーマンスは素晴らしいものがあった。スカウトから高い評価をされている来田だが、昨年のインタビューで掲げた「ドラ1」という目標。それを現実化するには技術的にも、精神的にも、ホンモノとなりうるか。この1年のパフォーマンスに注目だ。
(取材=河嶋 宗一)
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