目次

[1]来田の欠点克服のために取り組んだノーステップ打法
[2]ドラ1を現実化するための課題


 2020年の世代を代表するスラッガーといえば、来田 涼斗明石商)の名前がまず浮かぶ。

 2019年の全国での活躍は素晴らしいものがあった。選抜準々決勝の智辯和歌山戦では先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打、選手権準決勝の履正社戦で先頭打者本塁打。甲子園での活躍が評価、注目度を高め、今ではスカウトからも高く評価されているという。

 そんな来田は2019年以上の活躍を見せるためにどんな課題をおいて練習に取り組んでいるのか、話を聞いた。

来田の欠点克服のために取り組んだノーステップ打法


 来田の評価について狭間善徳監督について聞くと、さっそく狭間節が飛んだ。
 「あいつは普段は打たないのに、甲子園で打つ。だからプロ、プロという声が聞かれる。何がプロや」

 このコメントはある意味、来田の本質を現したものといえる。甲子園という大舞台で打てる勝負強さ、スター性を評価しつつも、安定した結果を残せていない要因である技術的な課題を解消できなければ、プロでも厳しいという話をしているのだ。そういうこともあっての厳しいコメントだろう。

 来田はもちろん、この1年間のパフォーマンスについて、満足していない。
 「県大会では全然打てないですし、先輩たちに助けられた1年だったと思います」

 

 来田には技術的な狂いが出ていた。それはノーステップ打法による体の突っ込みだ。まず来田が高校2年生になってからノーステップになった理由は狭間監督が進めたものだ。狭間監督はその意図についてこう説明する。
 「来田はタイミングの取り方が下手なんです。上手い選手は足を挙げながらうまく投手のボール、軌道に合わせることができるのですが、来田は足を挙げながら合わせるのが課題なんです。センバツの本塁打を振り返ってください。すべてノーステップでしょう?」



国体での来田涼斗(明石商)

 改めてセンバツの2本塁打を見てみると、確かにノーステップで打ち返している。狭間監督はノーステップにする意図をイチローと松井 秀喜を例に出しながら、説明を行った。
 「イチローも日本では振り子打法でしたが、メジャーにいってからは振り子をやめた。松井も、アメリカにきて小さなステップに代わった。速い球に対応するために工夫した結果、皆、ステップが小さくなっていくんです。来田はそういうところを考えてほしく、ノーステップを変えていきました」

 実際に来田もセンバツ前のインタビューでは、手ごたえを感じるコメントを残している。
 「今、タイミングという面ではいい感じになってきていると思います。ボールをとらえる確率は以前に比べ、明らかに上がりました」

 それがセンバツの活躍にもつながった。ただこの打法はもちろん万能ではない。狭間監督は「前かがみになっている」と指摘し、来田自身も
 「前かがみになることで、アウトコースの球は打てるのですが、強いボールが打てず、自分が追求する逆方向への強い打球が打てなかった」と反省する。

 強豪校はその課題をすぐに察知する。秋の近畿大会準々決勝の大阪桐蔭は、前かがみになり、ボールが死角に感じる内角を強く攻めたのだ。結果として安打は振り遅れの打球1本のみ。本塁打はなく、来田らしい打撃はできなかった。