野茂総監督から学んだ感謝の気持ちを胸に 香西一希(糸島ボーイズ)は高校野球でも二刀流を目指す
福岡県の中学野球界で強豪として名を鳴らす糸島ボーイズ。2019年春季全国大会、ジャイアンツカップと2度の全国大会出場を果たし、2名の選手が日本代表に選ばれた。
そのうちの一人が、NOMOジャパン代表に選出された香西一希だ。球速は130キロ前後ながら、抜群の切れと多彩な変化球を駆使し、その投球センスが認められ選出された。
今回はそんな香西のこれまでの歩みに迫り、またNOMOジャパンのアメリカ遠征を通じてどんなことを学んだのか伺った。
制球力の高さと多彩な変化球が武器
香西一希(糸島ボーイズ)
入団には、セレクションを勝ち抜かなければならない糸島ボーイズ。昨年は170名の選手が参加するなど毎年競争率は高いが、香西は見事勝ち抜いて入団を決めた。当時の気持ちを「素直に嬉しかった」と振り返る香西だが、チームを率いる北村俊策監督(セレクション時はオーナー)は「セレクションから能力は抜群だった」と明かす。
「香西は最初から抜群でした。コントロールが良くて、打者としても大きな打球が打てます。下級生では試合には出ていませんでしたが、2年生の夏頃からと能力を発揮してきましたね。」
投手としては、カーブ、スライダー、チェンジアップと多彩な変化球を駆使して三振を奪う力もあり、また打者としても3番打者として長打力を発揮していた香西。
2年生の夏から試合で起用され始め、8番センターとして全国大会の舞台も経験する。3年生が抜けた後の新チームでは投手としても頭角を現し、まさに投打の柱として活躍した。
「3年春の春季全国大会では、初戦の若狭高浜ボーイズ戦で3イニングを投げさせてもらい、その試合で自信をつけることができました。どのボールも自分の思い通りに投げることができて、無失点に抑えることが出来ました」
投手としても野手としても少しずつ実力をつけていき、自信も深めていった香西。夏の全国大会である日本少年野球選手権は惜しくも出場を逃したが、ジャイアンツカップには出場を果たす。
そして、そこでのパフォーマンスが認められてNOMOジャパンへ選出されたのだ。
アメリカで「制球力とキレ」の大切さを再認識
キャッチボールを行う香西一希(糸島ボーイズ)
「アメリカの選手は一回りも二回りも大きくて、変化球を使ってもコントロールが甘く入ったら持っていかれます。自分は力で勝負できるタイプではないので、コントロールの大切さを改めて感じました」
2019年8月19日から1週間、香西はNOMOジャパンの一員としてアメリカ遠征を経験した。
現地ではアカデミーチームを4試合を行い、香西は打者としても投手としても出場したが、アメリカ選手のパワーに圧倒された。自らの持ち味である「制球力とキレ」の大切さを再認識させられたが、香西をプレー面以上に「感謝の気持ちを持つこと」を学んだと話す。
「野茂総監督に、野球の技術はもちろんだけど感謝の気持ちを持ちなさいと言われました。グランドで練習ができることへの感謝や、野球をやらせてもらえる環境があることへの感謝も、それまで持てていなかったなと思います」
野球の技術だけでなく、精神面においても大きな成長を遂げた香西。
4月からは高校野球の世界へと踏み出していくが、次のステージでは投手としても野手としてもさらにスケールが大きな選手を目指して行く。
「投手としては140キロくらいで球速を伸ばして、あとは今までと同じように緩急を交えながらを球のキレで抑えることができるピッチャーを目指します。またバッターとしては、体があまり大きくないので率をもっと意識してバッティングしていきたいと思います」
そのため香西は、高校ではまず体作りからじっくり行っていきたいと話す。
単純な筋力だけで無く、走り込みや健康面にも気を使い、すべての面で体力を作っていくつもりだ。
「身長も同じくらいでタイプも似ている」と、目標とする選手にはドラフト会議2019でオリックスバファローズにドラフト1位で指名された宮城大弥の名前を挙げる香西。
宮城のような完成度の高い投手になれるか注目だ。
文=栗崎 祐太朗
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