中学生らしからぬ「大人な」好捕手・ 落合真洋(福岡ボーイズ)
第28回ゼット旗争奪福岡大会で、ベスト4に進出した福岡ボーイズ。準決勝までの4試合で何と46得点を叩き出し、圧倒的な打力で準決勝まで勝ち上がった福岡ボーイズであるが、その中で4番として打線を牽引した選手が落合真洋だ。
身長170センチ、体重68キロと、体格面ではそれほど大きな特徴はないが、懐の深い打撃で長打を量産し、通算本塁打も5本を数える。
またスーパー中学生はスペック面が注目されるが、捕手については、内面の強さ、キャッチング技術、状況判断力など重視すべきだと考えている。今回紹介する落合については、スペック面だけではなく、内面も注目してほしい選手。
今大会の活躍を振り返ると、準決勝では、一時同点となるセンターへのタイムリーツーベースを放って勝負強い打撃を披露し、また捕手としても冷静な声掛けや状況判断を行う姿が非常に印象的だった。
では、落合の中学生らしからぬ精神的な強さが見えるプレーはどう培われていったのか?
「地に足の着いたプレー」を支える野球ノート
落合真洋(福岡ボーイズ)
5月5日、県営筑豊緑地野球場で行われたゼット旗争奪福岡大会の準決勝。福岡ボーイズの正捕手として出場した落合の存在感は際立っていた。
的確な状況判断や声掛け、絶対にボールを逸らさないといった強い闘争心。中学生とは思えないような、地に足の着いたプレーに惚れ惚れさせられた。落合の良さは自分の強み、弱みを理解していることだ。
「自分は肩がそんなに強い方ではないと思いますが、ピッチャーができるだけ低くボールを集めることができるように、ショートバウンドなどできるだけ止めることが出来るように心がけています。
また、キャッチャーは全部のポジションが見えるので、できるだけ指示を多く出して、監督の代わりになれるようにと思っています」
この落合の言葉が、自身のすべてを表していると言っていい。
落合は、他の中学生にはない「地に足の着いたプレー」ができる選手で、それは守備だけではなく、バッティングにおいても威力を発揮している。
勝負強い打撃が持ち味の落合真洋(福岡ボーイズ)
福岡ボーイズの矢野文夫監督も「ランナーを置いたときの勝負強さは凄いです」と語るように、ランナーを置いたときに打席で見せる面構えは、興奮の中に冷静さを併せ持った自信の溢れる表情だ。
「バッターとしての持ち味は、打点を挙げることができることです。自分でも、チャンスには強いと思っています」
そんな落合のプレースタイルを支えているのは、チームで取り組んでいる野球ノートだ。
捕手として、4番として、監督やコーチから様々な指導を受けている落合は、その内容を忘れないため、そして頭の中に記憶するために、日々野球ノートに記録していることを明かした。
「監督さんからは、普段からたくさん教えていただくことがあるので、同じことを言われないようにしています。野球ノートに書いて忘れないようにする意味もありますが、頭に入れることを一番重視しています」
[page_break:矢野監督が求める二つの成長]矢野監督が求める2つの成長
正捕手としてチームを引っ張る落合真洋(福岡ボーイズ)
攻守にわたって福岡ボーイズを牽引し、福岡県のボーイズリーグを代表する選手と言っていい落合。
だが、そんな落合に対して福岡ボーイズの矢野監督は、高校野球でも活躍していくために2つの成長を落合に求めている。
1つ目は、より打球を引っ張ることだ。
「落合は、打球をうまく流す技術も持っています。ですが、そんなバッティングばかりをしていたら相手も怖さを感じなくなります。4番ですし、このバッターは流してくるんだと思われたくないので、引っ張って行けと言うとるんですよ」
また精神的な面においても、矢野監督は更なる成長を求める。以前までは、我の強さがプレーにも出ることが多かったと話す矢野監督は、最近の落合の精神的な成長も認めた上で、更なる成長に期待する。
「以前までは、思うようなプレーが出来ないとプーンと腹をかく(腹を立てる)ところがあったんですよ。それでも、最近はようやく人間としても、キャッチャーとして成長してきました。もう一つ成長して欲しいですね」
素振りを行う落合真洋(福岡ボーイズ)
もちろん、落合自身も課題は自覚している。落合は、自身の現状を受け入れた上で、更なるレベルアップに向けて強い意気込みを口にする。
「課題はたくさんありますが、一つ一つクリアしてもっと相手チームから嫌がられるようなバッターになりたいと思います。残りの中学野球では、夏の選手権大会(全国大会)に出場できるように頑張りたいです」
近年の福岡ボーイズからは、九州産業大で活躍中の岩田将貴や、東海大福岡のエースとして2017年の選抜甲子園に出場した安田大将、そして現在九州国際大付の主軸として活躍している葛城陸と中川壱生など、多くのOBが活躍を見せている。
活躍する先輩たちに、落合も続くことが出来るか注目だ。
文=栗崎 祐太朗