熱い向上心を内に秘めたリトルシニアの関東ナンバーワン捕手 平岡大和(秦野リトルシニア)【前編】
今年のリトルシニアで、関東ナンバー1捕手の呼び声が高いのが秦野リトルシニアの平岡大和だ。捕手としても打者としても高い能力を持つ平岡は、セカンド送球は2秒を切るタイムを叩き出し、打者としてもここまで中学通算で9本の本塁打を放っている。
今回はそんな平岡にインタビューを行い、これまでの歩みや将来の目標などについて話を伺った。リトルシニアで関東ナンバー1捕手と呼ばれる平岡の、その素顔に迫っていく。
ミスした後の練習に表れる負けず嫌いな性格
平岡大和(秦野リトルシニア)
口数は決して多くなく、どちらかと言えばおとなしい性格。それが平岡と話した第一印象であった。強肩強打のプレースタイルとは対照的に、性格はおっとりとしているのかなと感じていたが、その第一印象が間違っていたことにすぐに気づいた。
口数こそ多くないが、話すうちに言葉の端々に実力者ならでは自信や負けず嫌いない面が垣間見えてくる。平岡は自身の持ち味を次のように話した。
「バッティングは昔から得意だと思っていました。それがやっと結果として伴ってきたと思います。キャッチャーとしては、肩に一番自信を持っています。肩に自信があるのは小学校からで、 中学校に入っても成長できたと思います」
また秦野リトルシニアを率いる牧嶋和昭監督も、平岡の気持ちの強さを証言する。普段は感情を表に出さない平岡であるが、試合でミスをした後には、負けず嫌いな一面が練習態度に表れてくると牧嶋監督は話す。
「基本的に感情を表に出すタイプではないので、表面的にはわかりませんが、パスボールしたりミスをした時など、その後の練習態度で非常にわかりますね。負けず嫌いというのも当然あると思いますし、練習を一生懸命やるというところが彼のいいところです」
強肩強打の豪快なプレースタイルが持ち味である平岡だが、その豪快なプレーを支えているのは、内に秘めた静かで熱い向上心にある。そしてその二面性が、平岡の魅力をさらに強くしているのであろう。
[page_break:捕手としての成長が打撃力の向上にも繋がる]捕手としての成長が打撃力の向上にも繋がる
打撃練習を行う平岡大和(秦野リトルシニア)
そんな平岡を筆者が初めて目にしたのは、2019年3月に行われた第7回DeNAベイスターズカップであった。「強打の捕手」の触れ込みがあった平岡だが、第7回DeNAベイスターズカップでは9番を打っており、どちらかと言えば「守備型」の捕手なのかなと勘ぐってしまった。
だが牧嶋監督は、平岡は「強打の捕手」であることを強調し、打順も下位を打っていたことに意図があったことを明かした。
「バッティングは入った時から良かったのですが、キャッチャーというポジションの負担を考えて、下位で気楽に打たせた方が良いと思いました。ですが、最近ではキャッチャーとしても良くなって余裕も出てきたので、4番など主軸を打たせています」
平岡自身も、捕手としての成長に自信を覗かせている。入学当初は、捕手としては強肩だけがウリであったと話す平岡だが、現在では配球の面でも考えることが出来るようになったと語る。
「左右の配球だけではなく、緩急を使った前後の配球も意識するようになりました。
例えば、代打で出てきた打者は打つ気満々なので、最初はスローカーブで入って、その次に速いストレートを見せる。そして最後はチェンジアップで受け取る、といった感じで緩急を使った配球を意識するようになりました」
また捕手として余裕が出てきたことによって、元々良かった打撃力もより一層磨きがかかった。3年生の指導やチームの指揮を任される村山雄輝コーチは、平岡の打撃力の向上のポイントとして「対応力」を挙げた。
キャッチボールを行う平岡大和(秦野リトルシニア)
「入ってきた時から長打力にはかなりのものがありましたが、その一方で脆さもありました。ですが、この春からオープン戦や公式戦をやる中で、ちょっと変わったなというところがあり、今はもう四番を打たせています。
中学生になると変化球があるので、そこの対応が出来ていませんでしたが、春先ぐらいからは信頼して四番におけるなというのはあります」
打撃力は数字にもしっかりと表れている。中学通算の本塁打は9本であるが、そのうちの4本は今年に入ってからものだ。
平岡は今年に入っての自身の急成長を、次のように振り返る。
「これまでは自分に自信がなかったので、いいスイングもできませんでした。ですが1度打てるようになると、そこから自信がついてきて、どんどんで打てるようになったと思います。今は捕手としても、打者としても自信をもってプレーすることが出来ています」
選手として一番大事のものである「自信」を手に入れた平岡。選手として一皮むけ、「強打の捕手」としてさらに期待が高まっている。
前編はここまで!後編では、今後の課題や高校野球への意気込みについて迫っていきます。後編もお楽しみに!
文=栗崎 祐太朗