もう一人の規格外の逸材・関戸康介が明徳義塾中、大阪桐蔭でプレーする理由【前編】
全国からえり抜きの逸材が集まる大阪桐蔭。実績、将来性という点で群を抜いているのが関戸康介だ。
小学校6年時にホークスジュニアで129キロをマークすると、明徳義塾中に進み、中学3年には最速146キロをマーク。地上波のバラエティ番組の企画で登場するなど認知度の高さは現在の大阪桐蔭所属選手の中でも群を抜いている。
そんな関戸の野球人生の歩み、大阪桐蔭に進むきっかけ、大阪桐蔭での生活の様子などを語ってもらった。
小学校6年で最速129キロ。自分を高めたい思いで明徳義塾中へ
インタビューに答える関戸康介(大阪桐蔭)
長崎県佐世保市出身の関戸の野球人生は3歳から始まった。小学校1年生に少年野球入りし、セインツジュニア6年時にホークスジュニアのセレクションに受験し、見事に合格。そしてNPBジュニアトーナメントで129キロをマークし、大きく注目を浴びる。
小学生ながら、驚異的な球速をたたき出した関戸は
「驚きました。自信はありましたけど、ここまで出るとは思いませんでした」
驚きを隠せなかった。関戸がここまでの球速を出せるようになったのは普段から取り組んでいる遠投が生きていた。
「父から速い球と遠くへ投げることを追求しなさいといわれていまして、それで遠投をひたすら行う毎日でした」
幼少期の習慣が大事だと感じさせるエピソードである。そして関戸は地元の佐世保を出て、高知の明徳義塾中に進学。進学のきっかけとして、小学校6年生の10月に明徳義塾中の指導者から誘いを受けた。
「明徳義塾中ならば人間的に大きくなれると思って進学を決めました」
練習中の関戸康介(大阪桐蔭)
受験して明徳義塾中に合格。寮に住むことになる。
明徳義塾中の寮のルールは2人部屋で携帯禁止と恋愛禁止のみ。お菓子と炭酸飲料を飲むのはOKだった。
思春期で、遊び盛りの中学生にはきついルールだが、関戸は
「自分は空き時間は勉強するつもりでしたし、恋愛禁止については自分は縁がないので特に関係ないと思いました(笑) 野球に集中できる良い環境だったと思います」と笑う。
関戸が明徳義塾中の3年間で取り組んだことは主に体幹とバランスを鍛えるトレーニング。さらに中距離、長距離のランニングが中心。ウエイトトレーニングは一切やっていない。
「自分はピッチングにおいてバランスがとても大事だと思っているので、このトレーニングは非常に大きなものでした」
明徳義塾中のトレーニングにしっかりとかみあった関戸はみるみると球速を高めていき、中学2年に140キロに達し、そして中学2年冬にはピッチング練習中に最速143キロに達する。ただその143キロは手ごたえのあるものではなかった。
「自分にとってあまり良い感触ではなかったので、さらに満足いくストレートを投げていこうと冬のトレーニングも気合を入れて臨むことができました」
関戸はさらに進化を遂げ、常時140キロ台をマーク。地上波のバラエティ番組にもその能力を発揮し、知名度を高めていく。
[page_break: 関戸をかきたてた森木大智の存在。そして大阪桐蔭に進んだ理由]関戸をかきたてた森木大智の存在。そして大阪桐蔭に進んだ理由
マウンド上の関戸康介(大阪桐蔭)
そして関戸の成長に欠かせなかったのが、高知中の森木大智(高知)の存在だ。軟式ながら最速150キロのストレートを投げ込む森木について関戸は
「自分の中で目標ですし、すべてにおいて一流と思っていたので目標にできる人物だと思っていたので、森木がいたから成長できたと思います。とても感謝をしています」
また明徳義塾中ではiPod touchなど音楽プレーヤーの使用はOKで、また時間限定でWi-Fiを使えるため、それを使って森木と交流する時間もあったようだ。
そして関戸は最後の大会となった第35回記念全日本少年軟式野球大会で最速146キロを計測した。
「ネット裏から計測していた人のガンでその数字を計測したと聞きました」と最後の夏で森木に並ぶスピードを計測したのであった。
中高一貫の明徳義塾ということでそのまま明徳義塾高に進むと予想されたが、進路一転し、明徳義塾中をやめ、地元の佐世保に戻ることになった。その理由について、
「自分をさらにレベルアップするには、環境を変えないといけないと思いまして、指導者の方にお願いして地元に戻ることにしました」
さらなるレベルアップを目指して、関戸は2018年に春夏連覇を果たした大阪桐蔭を一般受験することを決めた。一般受験の内容は
「結構難しかったですけど、なんとか解けました。自分は社会と、小学校の時にそろばんを習っていたこともあって、数学は得意でした」と見事に大阪桐蔭に合格。ここで日本一の選手になることを決めたのであった。
前編はここまで。後編はいよいよ名門・大阪桐蔭の門を叩いた、高校生・関戸康介の入学当初から先日の近畿大会までを石田コーチの証言も交えながら振り返ります。そして最後には目指す選手像も語っていただきました。後編もお楽しみに!(後編を読む)
(取材=河嶋 宗一)
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