第1093回 投手に「そうだろうな」と思われる捕手に 梅林優貴(広島文化学園大・日本ハム6位) 【後編】2019年12月21日

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【目次】
[1]河野 竜生(JFE西日本)が引き出した「プロへの希望」/二塁送球タイム1秒8を出す「右ひざと股関節の送り」
[4]一生懸命の姿をプロの世界でも

 「有名校でないと」「いい環境がないと」そして「そもそもの体格・能力がないと」……。令和の御代。「ドラフト指名されない」の上にはこんな前書きが付くことが日常風景になりつつある。しかし、この男はそんな前提条件をすべて打ち破ってみせた。

 北海道日本ハムファイターズから6位指名を受けた梅林 優貴(広島文化学園大4年・捕手)がその人。173センチ85キロと決して体格に恵まれているわけではなく、チームは中国地区大学リーグ「2部」。そして自身は2つのアルバイトをかけもちしていた。

 では、なぜ彼は夢を叶えることができたのか?プロへの夢をあきらめかけている選手たちにもぜひ読んでほしい「努力の履歴書」を本人に語ってもらうことに。高校引退後に垣間見た「プロの世界」の話を中心に、広島文化学園大3年時までを追った前編に続き、後編では強肩捕手の地位を得るまでに至った送球メカニズム論と北海道日本ハムファイターズでの意気込みを聞いた。

前編はこちらから!
「このままではダメ」を知った高校引退後 梅林 優貴(広島文化学園大・捕手/日本ハム6位)【前編】

河野 竜生(JFE西日本)が引き出した「プロへの希望」



最終シーズンに中国地区大学2部首位打者を獲得した梅林 優貴(広島文化学園大・日本ハム6位)のバッティング

―― 最終学年、春シーズンが終わった時点で大卒プロ入りを目指す決断を下した梅林捕手ですが、ここでもいいタイミングがあったそうですね。

梅林 優貴捕手(以下、梅林) 4年春・中国地区大学野球2部リーグ最終節の会場はマスカット補助球場での開催だったんですが、この日は隣のマスカットスタジアムで都市対抗野球中国地区予選を開催していて。河野(竜生・JFE西日本)を見に来ていた6球団ほどスカウトさんたちも足を運んでくれたんです。

 そこで「肩がいいね」という話になって。ビデオも撮影してくれた。これまでは全くそんなこともなかったですし、大卒プロ入りへの可能性がほぼ0から高まったので、「プロに行きたい」という話をしたんです。

―― それはある意味、河野くんに感謝ですね。そしてチームメイトになるという(笑)

梅林  そうですね。いろいろなことで恵まれていたとは思います。加えて同期の堀 輝輝とも彼が広島新庄時代、練習試合含めて5回対戦しているし、凄い投手でした。そんな彼のボールを受けられることに運命を感じます。

―― 社会人入りへの退路を断ち、覚悟を持って臨んだ4年秋は30打数18安打で初の首位打者・最高殊勲選手を獲得。打撃も好調でしたね。

梅林  僕は大学3年から広島市にある「HANDS-ONカイロプラクティック」で身体のケアをさせてもらっていたんですが、ここで考え方や呼吸法を学んできたことで落ち着いて打席に入ることができるようになりました。それが大きかったと思います。

 肩についても高校2年の時に遠投95メートル、大学では110メートルと距離はある程度出せていましたが、ここで出力のコントロールを理解できたことで送球の正確性や球質も変わりましたし、すべてにおいて楽にプレーできるようになったんです。

二塁送球タイム1秒8を出す「右ひざと股関節の送り」



フライ捕球から鋭い一塁送球を放つ梅林 優貴(広島文化学園大4年・日本ハム6位)

―― 少し二塁送球の話もさせてください。現状のタイムはどれくらいですか?

梅林  練習だと1秒7、試合だと1秒8くらいです。

―― その送球タイムを出すためには当然、工夫していることがあるはずですが……。

梅林 自分の二塁送球の動画や、甲斐 拓也(福岡ソフトバンクホークス)さんの動画、「HANDS-ONカイロプラクティック」での先生からのアドバイスを参考にしながら「自分の力を無駄なく使う」ことは意識しています。

――動きの部分では?

梅林  ステップは高校時代のままなんですが、少し回転するイメージを持ちながら右ひざで方向を決め、股関節に乗せて投げる。そうすると正確に早く投げられるようになりました。

――余談ですが、趣味はありますか?

梅林  大学では野球部の遠征費をねん出するため、父の務めている広島電鉄バス市車庫での清掃とガソリンスタンドのアルバイトを掛け持ちしていたので日常的な趣味というものはなかったです。

――地方大学リーグならではの大変さですね

梅林  高陽東の大先輩が野球用具メーカー「アップセット」さんの営業だったので、安く提供してもらったり(2020年より専属用具提供選手に)。でもバイト先の皆さんも応援してくれていましたし、アルバイトも楽しかったです。

――下世話な話で。好きな芸能人は?

梅林  ここは高校1年から大原櫻子さんでブレていません(笑)

【次のページ】  一生懸命の姿をプロの世界でも

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プロフィール

梅林 優貴(広島文化大)
梅林 優貴(うめばやし・ゆうき)
  • 広島文化学園大
  • ポジション:捕手
  • タイプ:右投右打
  • 身長体重:173cm85kg
  •  野球好きな祖父の影響で広島市立亀山南小5年時にで安佐北少年野球クラブ(軟式)で野球をはじめ、チーム廃部によりスポーツ少年団三入クラブへ。「昔から壁当てして肩が強く投手の準備をしていたら最初の大会で投手候補が来て、監督に「捕手をする選手はいないか」と聞かれた時、防具を付けることに抵抗がなかったことから僕はそんなに嫌いじゃないですと言ってから」捕手がメイン。ちなみに小学校時代は5年間、剣道も同時に学んでいた。

     中学は広島市立亀山中(軟式)、高校は広島県立高陽東高校で捕手を続ける。当時のあこがれは谷繫 元信(元中日ドラゴンズ)や石原 慶幸(広島東洋カープ)で「谷繫さんや石原さんの試合を見ながら配球のチャートを付けていた」逸話も。高校通算は6本塁打・3年夏は広島大会準々決勝で準優勝した市立呉左腕・野村秀一(現:明星大4年)に完封負けで終わった。

     広島文化学園大に入学後は2年春からレギュラーを獲得。4年秋には最高殊勲選手・首位打者・ベストナイン捕手部門(2年秋・4年春に続く3度目)の「個人タイトル三冠」に輝き、入れ替え戦でも岡山商科大を2勝1敗でくだし初の中国地区大学野球リーグ1部昇格に大きく貢献。北海道日本ハムファイターズ6位指名に花を添えた。二塁送球タイム1秒8・50メートル走6秒2・大学リーグ通算179打数65安打。

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