Interview

夏の甲子園初優勝へと導いた岩崎峻典投手(履正社)が急成長した理由とは【前編】

2019.10.20

 今夏の甲子園で悲願の初優勝を成し遂げた履正社において、救世主的存在となったのが、岩崎峻典(2年)だ。清水大成(3年)に次ぐ投手がチームの課題となっていたが、夏の大阪大会で台頭。甲子園では準決勝の明石商戦で1失点完投、決勝の星稜戦でも好リリーフを見せて、胴上げ投手の栄光に輝いた。この夏で岩崎が急成長した理由、そして今後の目標について聞いてみた。

ソフトボールから野球へ 地道な努力の日々

夏の甲子園初優勝へと導いた岩崎峻典投手(履正社)が急成長した理由とは【前編】 | 高校野球ドットコム
インタビューに答える岩崎峻典

 大阪府大阪市に生まれた岩崎は2歳上の兄・佑亮さんの後を追うように小学生からソフトボールを始めた。始めた当初からポジションは投手だったという。

 中学ではここでも兄が所属していた大淀ボーイズに入団。同期には履正社でもチームメイトになる島野圭太がいた。ソフトボールから転向した岩崎はなかなか試合に出られなかったという。それでも、「人と同じことをしていても人より上手くなれないので、人より努力しました」と地道に努力を積み重ね、最上級生ではエースになり、全国大会にも出場した。

 高校では「高いレベルで野球をしたかった」という動機から大阪の強豪校である履正社に進学を決めた。通いの選手が多い例に漏れず、岩崎も自宅から1時間近くかけて電車通学をしている。

 入部した当初はレベルの高さに圧倒された。「最初の練習で周りのレベルの高さに驚いて、自分がレギュラーを取れるとは思っていなかった」と自分の実力に自信を持てずにいた。だが、1年秋にベンチ入りを果たす。

 チームの命運を背負う立場となり、「チームを勝たせないといけない立場になったので、責任は重いです」と背番号を背負う重みを実感。秋の大会で登板する機会はなかったが、近畿大会で4強入りして、チームはセンバツ出場権を獲得した。

[page_break:ベンチを外れた春季大会から変えた野球への取り組み]

ベンチを外れた春季大会から変えた野球への取り組み

夏の甲子園初優勝へと導いた岩崎峻典投手(履正社)が急成長した理由とは【前編】 | 高校野球ドットコム
岩崎峻典(履正社)

 中学時代の球速は120㎞/h台前半だったという岩崎。好投手が多くいる強豪校の中で背番号を獲得した背景には変化球を磨いたことだと明かしてくれた。

「自分の持ち味を出そうと思って、最初に変化球を磨きました。最初はスライダーにしようと思ったのですが、球速はあまり出なかったんです。冬くらいからカットボールを練習したら、それがハマりました」

 カットボールは岩崎の得意球として、夏の大会で飛躍するきっかけになったボールだ。最初は同じくカットボールを武器とする清水に投げ方を教えてもらうところから始まった。そこからキャッチボールで試すなど試行錯誤を重ねて、今のボールに行きついたそうだ。

 岩崎のカットボールはストレートとほぼ同じ握りで投げる瞬間に少しずらすのだという。スライダーもストレートから少しずらす程度の指の位置で握っている。ストレートと変化球の握りがあまり変わらないことで、打者としては直前まで球種がわからず、打ちにくさを感じるのだろう。カットボールは岩崎の絶対的な武器となったが、「カットボールは三振を取れるボールを目指している。球速アップをしたいです」とまだまだ改良中。今後はさらに進化を遂げてくれそうだ。

 センバツでもベンチ入りした岩崎。1回戦の星稜戦で登板機会はなかったが、「良い刺激になりました。とりあえず体作りから頑張ろうと思いました」と意識を高めるきっかけになった。

 だが、直後の春季大会ではベンチから外れた。そこから意識して取り組んだのが、技術面以外での取り組みだ。特に力を入れたのがスパイクやグラブなどの道具磨き。試合前夜には1時間以上時間をかけて、手入れをしているのだという。翌日の試合をイメージしながら集中して取り組んだことで、「試合に対する入り方が変わった」と岩崎は話す。

 前編はここまで。後編では岩崎選手の夏の急成長の秘密と現在について迫ります。後編もお楽しみに!

(取材=馬場 遼)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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