BCリーグで11勝1敗の好成績・150キロ右腕の長谷川凌汰(新潟)
今年のドラフト会議では佐々木朗希(大船渡高校)、奥川恭伸(星稜高校)、森下暢仁(明治大)の3投手が話題を呼んでいる。数年後、あるいは1年目から先発ローテーション候補として考えている球団が大半だろう。
プロ野球において先発投手候補は何人いても困らない、と言われることも多い。どの球団も喉から手が出るほど欲しいのである。そんな先発投手候補はビッグネーム以外にも各カテゴリーに存在する。そのひとりがルートインBCリーグ(以下、BCリーグ)の長谷川凌汰(新潟)である。
BCリーグの快速右腕・長谷川凌汰
長谷川凌汰
長谷川は福井商業高校から龍谷大へと進学し、昨シーズンからBCリーグ・新潟に入団。2年目となった今シーズンは11勝1敗、防御率2.05と抜群の成績を残している。
9月中旬・下旬に行われたNPBとの交流試合にもBCリーグ選抜として出場した。NPBのスカウトが見守るなか、3試合の登板で5回を投げ無安打無失点と上々の出来。マウンド上では落ち着いた素振りを見せ、しっかりとアピールを行っている。
その手応えを聞くと1年前の自分と比べるように教えてくれた。
「昨年も選んでもらったんですけど、1年目ということもあり、自分の実力以上の出そうとしすぎて力んでしまいました。今年は落ち着いて投げることが出来ましたね。自然体です。シーズンを通してやってきたことを出せたと思います」
昨年もドラフト候補として名前を取り上げられ、NPBとの交流試合に登板。当時の実力以上、自己最速となる153キロのストレートを投じたが、結局は指名されなかった。それから1年がすぎ、力みもなくなり自分の実力以上のものではなく、実力そのものをしっかりと出すことができたようだ。
長谷川は大学からBCリーグの門を叩いている。その大学時代との違いについて尋ねるとこう教えてくれた。
「大学時代との大きな違いはシーズンが年間であることですね。BCリーグでは(大学のような)春と秋の2回ではなく、1年を通して同じチームに何回も投げることになります。同じことをしていては打たれてしまいますから、アップデートしていかないといけません」
試合数の違いはあるが、BCリーグもNPBと同じく1年間を通して同じ相手と何度も顔を合わせる。そのため1度抑えたとしても、自分自身をアップデートしなければ、いずれ打ち込まれるよになってしまうわけだ。
大卒や高卒、そして社会人の投手たちは同じ相手と何度も戦うシーズンを経験していない。その点、BCリーグ出身の長谷川はシーズンを通してローテーションを担ってきた。これは強みのひとつになるはずだ。
今シーズンBCリーグ最強の先発投手といっても過言ではない長谷川は、ドラフト会議で名前を読み上げられるだろうか。
(取材=勝田 聡)