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第1062回 韮澤雄也(花咲徳栄) 仲間に支えられ、ともに駆け抜けた最後の夏【前編】2019年10月16日

【目次】
[1]仲間に支えられて成し遂げた埼玉5連覇、3年連続夏の甲子園
[2]木製バット対応の極意は、強く振り切ることだった
花咲徳栄、そして日本が誇る安打製造機としてこの夏の高校野球を沸かせた韮沢 雄也。1年生の夏からベンチ入りを果たし、日本一を経験。その後、3年連続夏の甲子園に出場し、日本代表に選出。
ワールドカップでは3番に座り、チームトップの10安打を記録しベストナインに輝いた。そんな韮澤に最後の夏を振り返ってもらった。
仲間に支えられて成し遂げた埼玉5連覇、3年連続夏の甲子園

韮澤雄也(花咲徳栄)
埼玉大会5連覇がかかった今夏の優勝候補・花咲徳栄。ライバルたちから厳しいマークに遭う中、韮澤は調子を上げ切れずにいた。
「タイミングの取り方とかがダメで、大会前から調子が悪く、良い状態ではなかったです」
それでも大会序盤はピッチャーのレベルがそれほど高くなく、徐々に調子を上げていけた。それでも自分のバッティングができずに苦しんだ。
「準決勝で対戦した春日部共栄の村田 賢一のような速球派のボールにはタイミングが合わせられなかったです。大会を勝てたのは周りの選手のおかげでした」
韮澤がそう語るように、今年の花咲徳栄はバッティングが良く、埼玉大会全7試合で打率.432、92得点、4試合が2桁得点を記録する破壊力で史上初の埼玉5連覇を成し遂げた。
練習試合でも負けてばかりでなかなか勝てないことが多く、韮澤自身は「本当に勝てるのかな」と思ったこともあったそうだ。それでも勝てると確信できたのは投手陣、特に3回戦の正智深谷戦でエース・中津原 隼太がノーヒットノーランを成し遂げたからだ
「バッティングはずっと良かったのですが、投手陣に課題がありました。けど、中津原がノーヒットノーランをやってくれた。そこから投手陣が成長してくれて、自分たちの野球ができるようになったのが大きかったと思います」
公式戦を重ねていく中でチームを強くしていき、韮澤自身3度目の夏の甲子園に見事辿り着いた。「見える景色も変わりました。『甲子園に来たな』というよりも『帰ってきたな』という感じでいい意味でゆとりをもって大会に入れました」
しかし、韮澤は埼玉大会で結果を残せなかったことを反省し、フォーム改造に着手。体をリラックスさせるためにバットを低い位置に構え、タイミングを取り始めると同時に上へ引き上げる。OB・西川 愛也を参考にしたフォームから、最初から肩の高さまでバットを上げて構えるようにした。
「前のフォームに戻しただけなので、逆に力が抜けて構えやすかったですね」
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