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第1061回 美しいフォームは天性のもの 井上温大(前橋商)を飛躍させた2つのターニングポイントとは。2019年10月14日

【目次】
[1]春の敗戦から打撃の対応力をチーム全体で高める練習を徹底
[2]高校2年の秋に訪れた二つのターニングポイント
投球フォームにおいては、群を抜いて完成度が高いサウスポーが群馬でドラフト指名を待っている。前橋商の井上 温大だ。
最速146キロの直球を武器に、選手権群馬大会では50イニング1/3を投げて、防御率2.14、45奪三振を記録してチームの決勝進出に大きく貢献した。惜しくも甲子園出場はならなかったが、流れるような美しい投球フォームはプロのスカウトからも高い評価を得ており、10月17日のドラフト会議でも指名が予想されている。
そんな井上に、ここまでの成長の過程を伺った。
投球フォームは修正したところがほとんどない

井上温大(前橋商)
井上は、投手一筋のキャリアを歩んできた。
3歳年上の兄の影響で小学校1年生から岩神リトルファイターズで野球を始めた井上は、入団当初から投手としてマウンドを経験していた。
当時は「それほど球は速くなかった」と振り返る井上だが、小学校3年生頃からは本格的に投手を任されるようになり、卒業後に進んだ前橋市立大胡中学でも3年間投手として活躍。
「そんなに凄い投手ではなかった」と謙遜するも、3年の春には群馬県大会への出場も果たし、前橋商以外にも甲子園出場の実勢がある県内の有力校から複数声が掛かった。中学時代から投手としての資質を兼ね備えていたことが伺える。
「中学時代はストレートとカーブを投げていて、カーブでカウントを整えてストレートで打ち取るピッチングでした。1回戦で敗れましたが、3年春には県大会に出場できました」
そんな井上には、中学時代から投手として光るものがあった。プロ顔負けの、非の打ちどころのない美しい投球フォームだ。前橋商の住吉信篤監督も、「投球フォームについては特に修正したところはない」と語るほど、井上の投球フォームは元々完成度が高かった。
井上は、中学2年頃から投球フォームの綺麗さを自覚し始めたことを明かし、フォームで意思しているポイントについても、特に難しいことは考えいないと語る。

ピッチングをする井上温大(前橋商)
「小学校の頃からフォームが綺麗とは指導者に言われていましたが、中学2年頃からチームメイトや相手チームの監督から言っていただけるようになり、自信を持てるようになりました。
フォームで意識しているのも、一本足で立ってからヒップファーストでいくイメージを持ってるくらいです」
また高校入学後には、自身の新たな武器も発見した。
投球フォームが綺麗であるが故に、球の回転も非常にスピンの効いた綺麗な縦回転であることだ。球の回転についても、前橋商のチームメイトから声を掛けられたことで、井上は武器であることを認識したと語り、これが高校野球を戦っていく上で大きな自信になった。
「軟式だとボールが伸びる感覚がわからなかったのですが、硬式だと指にしっかり掛かると空振りを取れるようなスピンの効いたボールがいく感覚がありました。そこからボールのスピンも意識するようになりましたし、高校野球でもやっていけるかなと思うようになりました」
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