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- 井上広大(履正社)が最強の4番打者になるまで。奥川と対戦して自分の無力さを知った【前編】
第1058回 井上広大(履正社)が最強の4番打者になるまで。奥川と対戦して自分の無力さを知った【前編】2019年10月16日

【目次】
[1]プロレベルの打撃に驚愕した入学当初
[2]センバツでの敗戦で自分の力の無さを悟った
今夏の甲子園で悲願の初優勝を成し遂げた履正社。強力打線を誇ったチームの中で3本塁打を放ち、全国制覇に大きく貢献したのが4番に座る井上 広大だ。身長187㎝、体重97㎏と恵まれた体格の持ち主だが、ホームランを打てる秘訣はそれだけではない。高校3年間での成長やセンバツの負けから磨いてきた対応力について話を聞いた。
プロレベルの打撃に驚愕した入学当初

インタビューに答える井上広大
子どもの頃から他の同級生と比べて背が高かったという井上。小学2年生の冬に習っていた柔道場の先輩に誘われてソフトボールの体験練習に参加したのが、野球に出会うきっかけだった。そこで初めてバットを握った井上はいきなりホームランを放ち、楽しさに目覚めたのだという。
中学では東大阪シニアに入団し、野球に転向。ボールの違いにも戸惑うことはなく、1年生から上級生に混じって試合に出場していた。チームの先輩が履正社に進んでいたこともあり、チームの代表に「履正社で甲子園に行きたい」と自らの意思を伝えた。そこで代表が岡田龍生監督に話を持ち掛けてくれたこともあり、履正社に進学することが決まった。
井上が履正社に入学した時には、後にドラフト1位でロッテに進むことになる安田 尚憲が2学年上にいた。長打力には自信のあった井上だが、安田の打撃を見て驚いたという。
「自分の引っ張った打球が安田さんの流した打球と同じ距離だったのを見て、これがプロに行く人のバッティングなんだなと感じました。高校に入って安田さんみたいに逆方向に飛ばしたり、バッティングの技術が高くなるのかなという不安はありました」
安田と同じ組で打撃練習を行うことが多かった井上は、ゲージの後ろから打席内での動きや始動のタイミングなどを見て、どん欲に学ぼうとしてきた。その中でも参考になったのは積極性だ。
「試合でも消極的にならず、ファーストストライクから積極的に振っていく姿が印象深いので、そういった面は自分も真似しないといけないと感じました」
プロレベルの打撃を目の当たりにしながらも、井上自身も自慢の打力をアピールして、1年夏にベンチ入りを勝ち取った。だが、2年夏までは大阪桐蔭の高い壁に跳ね返されてきた。特に2年夏は1点リードの9回二死から逆転負け。6番レフトでスタメン出場し、試合途中でベンチに下がっていた井上はこの試合をこう振り返る。
「あと1アウトで勝てると思った時点で、大阪桐蔭の最後まであきらめない気持ちに負けたのかなと思います。ベンチでもあとアウト1つで勝てるという声が出ていたので、それに対して、大阪桐蔭の何としてもという気持ちが勝ったと思います」