目次
目次
[TOC]

[1]各投手の個性を理解した気配りとリードで甲子園4強に導く
[2]夏の大会は高打率ながら満足いく打席は1つもない

[1]各投手の個性を理解した気配りとリードで甲子園4強に導く
[2]夏の大会は高打率ながら満足いく打席は1つもない

夏の大会は高打率ながら満足いく打席は1つもない



藤田健斗(中京学院大中京)

 守備面では絶大な貢献をした藤田だったが、打撃面では満足いく打撃ができなかった。
岐阜大会では21打数8安打、打率.381と活躍を見せたが、
「岐阜大会の打撃は全然満足していないですね。自分にとって良いと思った打席が1つもありませんでした。また、僕はこの1年、調子が悪くて、納得いく打球を打てていません」

 その証拠に2年生秋までに高校通算20本塁打を放っている藤田。打率.467を残した甲子園での活躍を振り返ると、アベレージヒッターという印象を受けるかもしれない。ところが好調時は本塁打を続けて放つこともあるなど、強打ぶりにも自信がある。ただ強打ぶりを発揮する打撃ができなければ、4番としてチームの勝利に貢献する打撃をしなければいけないと切り替えた。

 甲子園で藤田は勝負強さを発揮。まず2回戦の北照戦では7回表に勝ち越し適時打を放ち、3回戦の東海大相模戦でも7回表に同点適時打。準々決勝の作新学院戦では3打数2安打の活躍を見せ、創部初の4強入りに貢献した。準決勝の星稜戦では、エース・奥川 恭伸と対戦。
「予想通りのストレートのスピード、変化球の切れ、コントロールの高さでした」と絶賛しながらも、第3打席に右前安打を放ち、全4試合で17打数7安打の活躍を見せた。自身の評価を大きく上げた甲子園となった。

 そして9月20日にプロ志望届を提出。入学時から思い描いていた、高卒プロを目指せる選手へと成長した。守備力、打撃力の総合力の高さを評価されている藤田だが、本人が目指しているのは「打てる捕手」。今では毎日、木製バットで打撃練習を行っている。

「木製バットは芯に当たらないと全然飛びません。だけど、真芯に当たれば、金属バットよりも飛んでいきます。ただし1ミリでもずれると飛びません。そういう難しさを感じながら練習しています」

 もしプロ入りが実現したならばと決意を語ってくれた。
「プロ野球の世界に入ったら、絶対に活躍して、『捕手は誰がいいかといわれたら、藤田がいい』といわれるような選手になりたいです」

 

 3年間の歩みを振り返っても、自分の立ち位置を理解しながら、最善のプレーと行動ができるのが藤田の最大の長所。それでいてプロ野球選手に必要な「向上心の強さ」も備わっている。

 プロ入りが実現した時、厳しい競争が繰り広げられるプロの世界でも藤田らしさを発揮し、名を残す活躍を見せてくれるのか注目だ。

(取材=河嶋 宗一

PHOTO GALLERY フォトギャラリー

写真をクリックすると拡大写真がご覧になれます。