
中京学院大中京を4強入りに導いた好捕手・藤田 健斗。藤田の攻守の働きを振り返るとと、4強入りの最大の立役者だと分かる。1つ1つのプレーから伺える藤田のクレバーさに迫りたい。
前編はこちらから!
周囲から高評価も慢心は一切ない好捕手・藤田健斗(中京学院大中京)が成長できた「客観的視点」【前編】
各投手の個性を理解した気配りとリードで甲子園4強に導く

藤田健斗(中京学院大中京)
5月に寮の閉鎖があり、野球部は学校自体も休みになり、藤田は滋賀の実家へ帰省した。
帰省前、橋本監督から「今回の寮の閉鎖をプラスにしようと言われました。最初、僕は焦りましたが、監督さんがとても落ち着いていたので、僕も落ち着いて考えることができました」
帰省後は毎日、自宅近くで練習を行った。また、藤田はインターネットでキャッチングについて調べた。そこで1つのヒントを見つける。
「帰省中は、普段見られない野球の動画を見て、いろいろと野球について研究していました。キャッチングを調べていて、特にためになったアドバイスは『ミットを下に置くイメージで構える』ことです。その点を意識して練習時に試したところ、とても良い感じでキャッチングができました。周囲からもキャッチングが良くなったといい反応をもらえました」
橋本監督の言葉通り、寮の閉鎖期間をしっかりとプラスに変えることができた。
さらに投手に応じてリードの仕方、構え方にも変化をつけた。制球力の高いエース・不後 祐将や、東海大相模戦で好リリーフを見せた右サイドの村田 翔はコーナーに構え、駆け引きを楽しみながらリードを行った。
ただ148キロ右腕・赤塚 健利に関しては、「真ん中に構えても、その通りにこないですし、コーナーに構えると、コーナーに投げたい気持ちが強くなってしまい、腕が振れなくなってしまう。そこで真ん中に構えると、力のあるストレートが適度に散らばってくれるので、真ん中に構えることを意識しました。不後とかは任せる感じですけど、赤塚に関しては全面的にこちらから引っ張るようにするなど、投手の性格に応じて接し方を意識しました」
藤田の役割は非常に大きなものとなった。中京学院大中京は昨秋の東海大会から、投手起用を改め、これまではエースの不後の完投が多かったが、球数を制限し、多くの投手をリリーフさせる方針に変わった。夏の岐阜大会、甲子園で各投手が活躍を見せ、中京学院大中京の投手起用が大きく脚光を浴びたが、その裏には藤田が各投手の持ち味を引き出すために心配りを行ったことも忘れてはならない。