目次

[1]阪急電車からヒントを得たローズブラウンを携えて「グローバルエリート」は誕生した
[2]歴代の担当者が明かす、これからの10年への想い

 多くの野球選手を支え続けるミズノ株式会社。そのミズノが提供する最高品質といえば、「ミズノプロ」。2019年に30周年を迎えたのを記念して、歴代のグラブ企画担当者のインタビューを行ってきた。

 その「ミズノプロ」とは違う路線を走り、多くのプレーヤーの心を掴んできたミズノが誇る人気ブランドが「グローバルエリート」。こちらも2019年に10周年という節目を迎えたということで、これまでグローバルエリートを担当してきた石塚裕昭さん、そして須藤竜史さんの2人にお話を伺い、「グローバルエリート」が歩んできた10年間を振り返る。

~ミズノプロ30周年・グローバルエリート10周年記念特集~
第1弾…3Dテクノロジーの先駆けとなったミズノプロ グラブが誕生するまで 久保田憲史執行役員
第2弾…3Dから4Dテクノロジーへ。進化を遂げたミズノプロ 寺下正記次長
第3弾…「自分の手のようにグラブを動かしたい」イチローのニーズは全プレイヤーのニーズ 柳館宗春さん
第4弾…進化のカギは「旧シリーズを超えろ」。スピードドライブテクノロジー開発秘話 石塚裕昭さん
第5弾…野球界の進化に比例してミズノプロも進化を続ける 須藤竜史さん
第6弾…ミズノプロに並ぶ、2大ブランドとなる宿命を背負うグローバルエリート

阪急電車からヒントを得たローズブラウンを携えて「グローバルエリート」は誕生した



グローバルエリートを立ち上げた石塚裕昭さん

 「グローバルエリート」の創設者は、スピードドライブテクノロジーを作り上げた石塚裕昭さん。新ブランド立ち上げの背景を聞くと、
 「それまではヴィクトリーステージがありましたが、少し下降傾向にありました。そこで社内で『プロ野球選手にも使ってもらえるようなブランドを作ろう』という流れができました」と当時を振り返りながら語る。

 ミズノプロに肩を並べる人気ブランド誕生に向けて、取り入れたのは「軽快感、軽さ」だった。
 「市場の流れが『軽さ』でしたので、グローバルエリートでもそれを求めました。ただ、軽くすると強度が落ちる問題がありました」

 石塚さんは軽さと強さの両立のために、パーツごとに厚さを設定した。
 「ミズノプロはポケットの部分の革を薄くすることはしないんです。けど、それだと軽くならないので、グラブの芯を作って厚さをパーツごとに決めるようにしました」
 さらにボールを掴みやすくするために、ボールの掴むときのグラブの動き方から逆算。型紙に落とし込むことで、理想に近い形を再現した。

 ただ、新しいカラーリングを作り上げる方にも苦労した。
 「新しい色を作るのが課題で、当時はオレンジやイエロー系が人気でした。なので、オレンジやイエローで新色を探しましたが、なかなかいいものが出来ませんでした」

 そんな石塚さんを救ったのは阪急電車だった。
 「出社する際に阪急電車を使っていたのですが、車両の色を見た時にピンっと来ました。当時はグラブに茶色を使うのはOKでしたので、赤みがかった茶色を作りました」

 こうして新色・ローズブラウンを携えて新ブランド「グローバルエリート」は誕生。当時、(甲子園優勝投手の)堂林翔太が使っていたこともあり、発売当初から好スタートを切ることが出来た。

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