練習では目立たない実戦型アベレージヒッター・熊田任洋(東邦)は打つための準備をしている
8月31日、第29回WBSC U-18ワールドカップ2日目。侍ジャパンU-18代表の第2戦は南アフリカと対戦。試合は初回から侍ジャパンU-18代表打線がつながり、19対0の6回コールド勝ち。2連勝を飾った。
高校野球ドットコムでは試合のキーマンとなったプレイヤーを紹介。南アフリカ戦で4打数3安打3打点を記録した熊田任洋(東邦)に迫っていく。
熊田任洋(東邦)
打撃ではいつでも期待が持てる選手だ。
甘く入れば本塁打にできる技術を持った選手だが、基本はアベレージヒッター。広角に打ち分けるバットコントロールの高さは素晴らしいものがある。
駒澤大とのオープン戦では2試合で3安打、大学代表との壮行試合では適時打と、国内合宿ではチームトップタイの4安打を放っていた。
そんな熊田について永田監督は「練習では目立たないけど、実戦向きの選手」と語るが、熊田も「練習では目立つ選手ではない」と語る。目立たないのは、長打を狙う打撃をしていないからだ。
「僕は強くスイングをして、ライナーを打つことを心掛けています。実戦に入れば、練習のような打撃、スイングはできませんが、強いスイングを心掛けることで、試合に入ってもそういう打撃ができるようになると思っています。ただ練習でもあまり良い打球を打てていませんが…」
試合のことまで想定しているからこそ、熊田はフリー打撃だけではなく、ティーバッティングからも自分の形で打つことを意識している。
また自分の形で振るために、いろんな種類のティーを行いながら自分の打撃フォーム、タイミングの取り方を確認。一見、目立たないように見えても、熊田は打つための最善の準備を行っているのだ。
それが国内合宿のトップタイの4安打であり、今大会の活躍に繋がっている。
まずスペイン戦では制球力の良い先発のルナから痛烈なセンターフライを放つと、南アフリカ戦ではベルト付近に甘い球が来ると読んで、第1打席でタイムリー。さらに足にも自信がある熊田は、天然芝で打球が転がりにくい特性を読んでセーフティバントを試みて見事に成功。熊田の冷静な判断で、得点につなげた。
この試合は3安打と自分の実力を存分に発揮しているだろう。次はアメリカ代表と対戦。熊田は今までにないタイプの投手の対戦だと警戒している。
「速くて、ボールが動く。今までにないタイプとの対戦ですし、打ちにくい投手だと思います」
それでも熊田がアメリカ投手陣を打ち崩す打撃を見せれば、日本の勝利の確率は高まる。そして熊田のバットコントロールの高さは、U-18世代では世界レベルだと認められるだろう。
(記事=河嶋 宗一)