第1033回 3Dテクノロジーの先駆けとなったミズノプロ グラブが誕生するまで 久保田憲史執行役員2019年10月18日

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【目次】
[1]グラブは手の延長でなければならない
[2]最高のコンセプトのもと、最高の材料と技術でできた最高峰のグラブ。それがミズノプロ

最高のコンセプトのもと、最高の材料と技術でできた最高峰のグラブ。それがミズノプロ



インタビュー中の久保田憲史執行役員

 こうした苦労の末、D-UPゾーンの名称がついたミズノプロはヒットしたが、1999年から新たなグラブをミズノプロは販売を始める。それが3Dテクノロジーであり、久保田執行役員が本格的に携わったグラブである。

 「プロ野球選手が使っていて一番良い状態のグラブを最初から作ろう」という発想からコンセプトに『すでに使い慣れたポケット形状』を掲げて製作がスタートした。
「普通はカチカチのグラブを理想の型にするために、柔らかくしながらポケットを作ると思うんです。けど3Dテクノロジーのミズノプロは既に型ができているので、すぐに使えるんです。これがお客様には好評でした」

 ただこのグラブを形にするために、グラブに目印となるポイントを付けて2台のカメラを使って様々な角度から撮影。当時はまだ3D技術がなかったため、こうした方法で3次元のポイントを割り出して、プロ野球選手が使っていて一番良い時の型を再現した。

 ただ、データをもとにグラブを再現することに苦労したことを久保田執行役員は振り返る。「平らなグラブであれば、革をパーツごとに裁断するだけなので簡単なんです。ただ3Dはポケットが深いので、最初から再現するために革をすぼめるんです。この時にしわができてしまい、そのしわをお客様が気にされるので、難しかったですね」

 この問題を波賀工場との二人三脚で試行錯誤を繰り返すこと2年で、ようやく違和感ないグラブが出来上がった。こうして3Dテクノロジーのミズノプロは世間に広く浸透し、久保田執行役員は1996年途中からグラブ企画から離れることとなった。



当時担当したグラブを手に笑顔を見せる久保田憲史執行役員

 しかしD-UPゾーンが大ヒットしている中、どうして3Dテクノロジーという新たな挑戦を試みたのか。この疑問に対して久保田執行役員はこう語る。
「ミズノプロというブランドを維持、そして向上させるためには新しい挑戦をしないといけないんです。他社からも目標にもされますので。ですので、他のブランドは色や型を変えるだけのところ、ミズノプロは定期的に大きなモデルチェンジをします」

 2019年でミズノプロは30周年という節目の年を迎えた。最後にこれからのミズノプロのあるべき姿を久保田執行役員に答えてもらった。
「最高のコンセプトのもと、最高の材料と技術でできた最高峰のグラブ。それがミズノプロであり、これからも曲げてはいけないと思います。たとえ曲げようとしても営業やお店、そしてお客様が許さないと思います。それだけ認知をされていますし、信頼を勝ち得ている。それを裏切ってはいけないですし、妥協をしてはいけないです」

 今は執行役員という立場だが、グラブ企画という役割について聞くと、「ミズノの野球ビジネスをリードしてきているんです。それだけ野球ビジネスを支えていますし責任があるので、プレッシャーもあります」と語る。しかし、「全体をまとめという役割なので、開発部隊や波賀工場とかと話し合っていろんなアイディアをもらいました」と周りの支えがあってのグラブ企画だと話してくれた。

 ミズノの最高峰のグラブ・ミズノプロは妥協を許さないモノづくりの精神。そして最高のグラブを届けようとするプロ意識が支えられていた。

(記事=編集部)

~ミズノプロ30周年・グローバルエリート10周年記念特集~
第1弾…3Dテクノロジーの先駆けとなったミズノプロ グラブが誕生するまで 久保田憲史執行役員
第2弾…3Dから4Dテクノロジーへ。進化を遂げたミズノプロ 寺下正記次長
第3弾…「自分の手のようにグラブを動かしたい」イチローのニーズは全プレイヤーのニーズ 柳館宗春さん 
第4弾…進化のカギは「旧シリーズを超えろ」。スピードドライブテクノロジー開発秘話 石塚裕昭さん
第5弾…野球界の進化に比例してミズノプロも進化を続ける 須藤竜史さん
第6弾…ミズノプロに並ぶ、2大ブランドとなる宿命を背負うグローバルエリート

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