甲子園練習に参加した女子マネージャー首藤桃奈さん 当時の心境と将来の夢
2016年夏、大分の女子マネジャーとして甲子園練習に参加するも、当時の規定により大会関係者に制止を受けた首藤桃奈さん。事態が報道されると世論を巻き込む騒動へと発展し、大きな注目を浴びる存在となった。
あれから3年、大学生となった首藤さんは当時の騒動をどのように感じているのか。[stadium]甲子園球場[/stadium]での心境やチームメイトとの会話を振り返っていただき、また現在の大学生活についても語っていただいた。
20歳を越えて心のモヤモヤが無くなった
首藤桃奈さん
「甲子園練習が終わった直後は、私の中で少しギクシャクしてました。選手も自分たちの野球を見て欲しくて[stadium]甲子園[/stadium]まで来たのに、申し訳ない気持ちでした」
甲子園練習でグランドへの立ち入りを制止された後、世間の注目は主役である選手ではなく首藤さんに注がれた。囲み取材でも、記者の多くは選手ではなく首藤さんのもとに集まり、そんな状況に選手への申し訳なさが募ったのであった。
「試合中も、普段はマネージャーはメンバー外の選手たちと一緒に前で応援します。ですが、注目されたことで一番前で応援できないと言われて、2、3列目での応援となりました。
取材はNGでしたが、バッターボックスが見えないくらいカメラマンさんもたくさんいて、吹奏楽部との連携もあまりうまくいかなかったので、全部私のせいだと思っちゃって」
選手たちの晴れ舞台に胸が躍った一方で、みんなに迷惑を掛けてしまった。
[stadium]甲子園[/stadium]での心境を「一番良くも悪くも強い印象」と表現し、野球部を引退した後もモヤモヤとした気持ちを抱えていたと話す首藤さん。
当時の大分の選手たち
だが最近になり、心に残っていた「悪い印象」を晴らしてくれる出来事があったことを首藤さんは明かす。
大分高校野球部のチームメイトとは現在でも定期的に集まり、20歳を過ぎことでお酒を酌み交わすことも多くなった。当然[stadium]甲子園[/stadium]での思い出も語り合うのだが、当時の騒動も今となっては良い思い出として心に残っていることを聞かされ、
「お酒が飲めるようになって、当時のことを深く話せるようになりました。
『あの時は色々あったけど、俺面白かったと思うよ』とか、
『こんな形だけど大分高校の名前が広まって、俺たちの野球を少しでも見てくれる人が増えてよかったよ』とか話してくれて、ずっと心にあったモヤモヤが無くなって楽になりました。
これから先、これを超える思い出は無いなと思いますね」
将来は英語力を活かしてスポーツに関わりたい
将来について語る首藤桃奈さん
大分高校を卒業した首藤さんは、興味のあった英語をより深く学ぶために関東地区の大学に進学。大学2年時には自身の経験を幅を広げるため、大学を休学してハワイへの語学留学を決断。
異国の地で1年間を過ごしたことで、英語力の向上だけでは無く新たな価値観にも触れることが出来た。
「ハワイって言うと観光に行ったように感じると思いますが、語学学校は厳しかったですし考え方も変わりました。
アメリカの方は、みんな前向きで誰に何を言われようが私は私だって人が多かったと感じます。留学を経験して、私も人に対する偏見もなくなりましたし、ポジティブになれたと思います」
もちろん勉強だけでは無く、プライベートも充実していた。
日本の大学と同様にハワイの語学学校でもセメスターの間に休暇があったが、休暇中には仲の良かった友人と旅行にいき、今まで経験することのできなかった経験もたくさんした。
「私がいたのはオアフ島というところでしたが、友人と二人で計画を立ててお金を貯めて、マウイ島というところに旅行に行きました。山に登って、海に行って、現地のものを食べて、友人ともすごく充実してるねと話しました。計画を立てるのも楽しかったですし、全く知らない土地だったんで新しい発見もたくさんありましたね」
帰国した現在も将来に向けて英語の勉強は続けており、首藤さんは忙しい日々を過ごしてる。将来は英語力を活かしてスポーツに関わっていきたいと話し、もちろんその中で自身を育ててくれた高校野球に恩返しもしたいと明かす。
「最終的には大分に帰って大分の高校野球に関わりたいなと思うんですけど
私が高校一年の時に、実はキャスターの長島三奈さんが大分まで来てくださって、その時に様々なお話をさせていただきました。
お話をさせていただいて、色んな形で野球に関わる事が出来ることを知りました。そのために今はスポーツ全般、とくに高校野球に恩返しができるといいなと思って頑張っています」
グランドへの立ち入りを制限された首藤さんだが、高校野球に対しては強い感謝の思いを持っている。
感謝の思いを行動に移すために、今日も地道な勉強を首藤さんは続けている
取材=栗崎 祐太朗
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