「最速150キロ1年生・エースナンバーでの『脱力宣言』」 森木 大智（高知）
ついに待ち望んだこの時がやってきた。高知中時代に軟式球で史上初の最速150キロを叩き出し、3年時には春夏連続全国制覇にも貢献した森木 大智（1年・184センチ82キロ・右投右打）の夏デビュー。高校入学後も5月の春季四国大会で公式戦デビューを飾ると県総体準決勝で最速148キロ、6月には龍谷大平安（京都）相手に完投勝利と日進月歩で成長を続ける剛腕は名門のエースナンバー「1」も背負って戦うことになった。
そこで今回は高知大会を目前に控えた森木投手に独占インタビューを敢行。そこで彼から発せられたのは意外ともいえる「脱力宣言」であった。
「勝てる試合」作るための脱力宣言
森木 大智（高知）
―― いよいよ森木投手にとって高校野球はじめての夏です。ここまでの自分を振り返って自分の状態はいかがですか？
森木 大智投手（以下、森木） 勝てる試合を作るための状態は上がっています。5月の県総体以降は「打たせて取る」をテーマにやってきていますが、それによって自分でも力を抜いて投げられるようになっていますし、脱力の中でも思ったよりいいボールが行っています。
――その考えに至ったのはやはり140キロ台前半のストレートを使いながら3安打4奪三振1失点（自責0）で完投勝利できた6月8日の練習試合・龍谷大平安（京都）戦での経験が大きく影響しているのですか？
森木 その通りです。あの試合から「打たせて取る」「脱力する」感覚がすごく解ってきたし、継続してもできているので。もちろん完ぺきではないですが、いい状態にはあると思います。
――そのためにフォームで気を遣っていることは？
森木 ダルビッシュ 有（MLBシカゴ・カブス）さんが取り組んでいるような「上半身をすべて脱力して下半身だけを使う」イメージです。下半身だけを使うことで上半身や上半身や腕にしなりを持たせたいので。それでもストレートはアベレージで140キロくらいは出ていると思います。
――逆に言えば、そこに「強さ」を加えるのが夏以降の課題になる。
森木 そうですね。
「先輩たちと一緒に」甲子園・全国制覇を目指して
――そしてすでに公表されていますが、森木投手は1年夏からエースナンバー「１」を背負ってマウンドに立ちます。そこについての思いはありますか？
森木 僕としては練習試合でたまたま調子がよかったので付けさせて頂いている感じだと思っていますが、「１」を付けさせて頂いている以上は自信と誇りを持って自分らしく強気でいきたいです。大会が来るのが楽しみです。自分は1年生なので思い切りできる楽しさを感じながら、失敗を恐れず思い切りやっていきたいと思います。
――そう森木投手が思えるのも野球部の先輩たちの支えがあってこそですよね？
森木 キャプテンの川田（悠慎・3年・遊撃手）さんと自分は寮で同部屋なんですが、野球の話をしたり自分がよくない結果であった時にも励ましの言葉をかけてもらっています。いろいろと気を遣って頂いているので、そこに応えたい想いはありますね。
――ということは第3シードで迎える高知大会では決勝戦で対戦する可能性が高い第1シード・明徳義塾戦を見るよりも目の前の試合をしっかり戦いたい気持ちが強いでしょうか？
森木 まずは2回戦・準々決勝と勝ち上がって準決勝・決勝戦で「勝てる」イメージを自分の中で持ちたいです。ですから、初戦からどのチームが来ても潰していく気持ちで、強気で行きます。
――そこでは中学時代の全国大会と同じ気持ちで向かっていきたい。
森木 そうですね。構えるのではなく、下から這い上がる下克上の気持ちでいきたいです。明徳義塾などの研究も少しづつはしていますが、もしマウンドに立つ場合でもあまり頭には入れすぎず、その時の感覚を大事にしたいですね。
――同時に周囲は当然、森木投手に中学時代の最速150キロ超えを期待してくるでしょうが……。
森木 確かに150キロは言われるとは思いますが、僕は大会では球速ではなく完投できるピッチングをしたい。自分が投げて勝てばチームの士気も上がると思うので、常に勝つことを意識したいです。
――だからこその「脱力」
森木 そうなんです。
――では最後に、改めて夏の意気込みをお願いします。
森木 高知大会を勝って、甲子園に出て、甲子園で優勝することが自分の目標でもありますし、チームもしても目標にしていること。なので、まずは甲子園に行くことを第一に考えてやっていきます。
――大会直前に貴重なお話、ありがとうございました。
森木 ありがとうございました。
取材＝寺下 友徳
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